雪と炎のシンフォニー２【爆豪勝己】 (ページ15)

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緑谷出久２ページ15

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緑谷の心の中で賞賛の嵐を受けていたAは、「あ、そうそう」と前置きをして、話を切り出した。

「体育祭では焦凍がお世話になったようで。まさか緑谷君に先を越されるなんて……本当、この行き場のない気持ちをどこに持っていけば良いのやら……。あぁ、それは私の力が及ばなかったというだけで、別に緑谷君を責めてるわけじゃないんだよ？ただ──」
「Aさん？え？ど、どうしたの！？」

息つく暇もなく笑顔で喋り続けるAにぞっとするものを感じた。

「A、その辺にしろ。緑谷が困ってる」
「轟君……っ！」

何がなんだか分からないこの状況に轟がストップをかけた。
その天の助けに「ありがとう！！」と心の中で強く叫んだ。

「悪ぃな、緑谷。こいつ、お前に張り合うっつーか……まぁ、そいう感じでだな……」
「え！？張り合う……僕に？」
「やだなぁ、焦凍。まるで私が緑谷君に一方的に対抗心を燃やしてるみたいじゃない」
「違うのか？」
「どうだろうね～」

Aはナチュラルに轟の腕に絡みつく。

双子なのに全然似ていない２人。
兄妹と知らなければ、完全に美男美女のカップルがイチャついているようにしか見えない。

あと、「ふふ～」と笑いながら緑谷を見るAの瞳はどこか怖い。
笑顔なのに怖い。

(僕、何かしたっけ……！？)

「ほらいくぞ、A」
「は～い。それじゃあ、私はこっちのホームだから」

Aはいい返事をしながら、くるりと轟と逆方向を向いた。

「は？お前も親父のところだろ？なら──」
「ううん、違うよ？」
「なに……っ！？」

父親の事務所を選択した轟は、当然Aも同じだと思っていた。
しかし残念ながら違うところを選択したらしい。

「指名は来てたはずだろ？」
「うん」
「親父、お前が体験に来ると思い込んで、気持ち悪いくらいそわそわしてたぞ」
「あらまぁ……。見つけた瞬間、選択肢からはずれたんだけどねぇ」
「お前……」
「焦凍は悩んで悩んでお父さんのところに決めた感じ？私たち、そういうところ正反対だね」

楽しそうに言うAに轟は困った顔をする。

決めてしまったのなら仕方がないと、轟はため息をついた。

「……で、行き先はどこにしたんだ？」
「NO.４ヒーロー・ベストジーニストのヒーロー事務所だよ」
「あ゛ぁ！？」

Aが職場体験先を告げた時、誰よりも大きな声を上げたのは、横を通り過ぎようとした爆豪であった。

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