雪と炎のシンフォニー２【爆豪勝己】 (ページ14)

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緑谷出久ページ14

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職場体験当日。
緑谷出久はこれからの一週間を己の成長の糧にすべく、意気込んでいた。

Ａ組の生徒は学校ではなく駅に集合し、相澤先生の諸注意を聞いていた。

その中で１人だけ、コスチュームの鞄を持たぬ生徒がいる。
緑谷はその人物が気になって仕方がなかった。

同じ１年生で経営科。
NO.２ヒーロー・エンデヴァーを父に持ち、Ａ組の中でもトップクラスの実力を持つ轟焦凍の双子の妹。

轟A。

トレードマークの赤いリボンを揺らしながら、彼女は緑谷にふわりと笑いかけた。

「おはよう、緑谷君」
「お、おお、おはよう！あの、学校は！？」

時間を考えると完全に遅刻だ。

Aが轟焦凍と兄妹ということが知れ渡ってから、兄にべったりなのは知っている。
だからって授業をサボってまで見送りにくるだろうか？

「私にも指名がきててね、特例で職場体験を認めてもらえたの」
「え！？」

ヒーロー科の生徒ではない彼女にも、職場体験のオファーがあったらしい。
なるほど、だから相澤先生は何も言わなかったのかと納得した。

「ほとんど焦凍とセットなんだけどね」

聞いてみるにオファーの数もけっこう多い。
体育祭で見た彼女の個性はＡ組に劣らず凄まじかったのを思い出した。

(さすが轟君の妹さんだ。……すごい)

「ヒーローになるつもりはないけど、職場体験は魅力的だったので便乗させていただきました～」

片手でピースを作る仕草はなんとも可愛い。
周囲から視線を集めている妹を守るように隣に立つ轟の気持ちも理解できる。

(っていうか、ヒーロー志望じゃないのに職場体験……。すごい……)

ヒーロー科に編入の打診もあったが、あっさり断ったらしい。
しかし、将来的に役に立つかも知れない職場体験はぜひ受けたいとお願いした。

「経営のノウハウを現場で学ばせてもらえる絶好のチャンスだもの」

(しっかりと将来を見据えて……。すごい……)

緑谷は先ほどから心の中で「すごい」としか言っていなかった。

「授業は大丈夫なの？ついていけなくなったら大変だし……」
「平気平気～。それくらい、すぐに追いつける」

なんて、あっけらかんと言ってのける。

経営科は経営学を学ぶために、高校の課程を超スピードで進めていくと噂の“スパルタ教育”と聞いた。
その中のトップであるAだからこそ、今回の特例が適用されたのだ。

(やっぱりすごい……！！)

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