愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ43)

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★☆ ページ43

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「Aさんはさ……、どうして研究者になろうと思ったの？」

　サポート会社の娘さんだからだろうなーと予想して訊いてみた。……のに、あれ？僕の質問にAさんはギュッと口を引き結んで視線を落とした。

「……あの、Aさん？」
「…………私(わたくし)を助けて亡くなったヒーローは、サポートアイテムの故障が原因で命を落としたんです」
「え？」
「彼はサポートアイテムを使用しようとしましたが、ちゃんと作動しなかったんです。その隙をつかれてヴィランに……」
「そんな、」

　僕はメンテナンス作業をしてくれている発目さんに視線を向ける。サポートアイテムの故障だなんて……考えたこともなかった。しかも交戦中の生死を分かつ大事な場面で。

「もし、あの時ちゃんとサポートアイテムが使えていたら、あの方は死ななかったかもしれない。──なんて言っても彼は戻ってこないんですけれど……。でも、幼い私が自分なりに何かできないかと考えた結果なんです」

　その声色からAさんの強い意志が伝わってきた。もうあんな悲劇を起こしたくないと。

「そっか……」
「……」
「……」

　しんみりした空気で会話が途切れた。こんなはずじゃなかったんだけど……。話題のチョイスをミスった。気まずい。

「──あ、そうそう！」

　僕はAさんに報告があることを思い出した。これで少しは空気が軽くなってくれるといいんだけど。

「今日、八百万さんがこっちに到着するみたいなんだ」
「そうなんですか！……あら？向こうと連絡が取れるんですか？」
「一部だけ弛緩されていて、極秘で教えてもらったんだ。まず僕たちの職場に顔を出すだろうから、連絡入れようか？」
「いいんですか？」
「うん。よかったら連絡先教えてれる？」
「はい」

　Aさんはツナギのポケットスマホを取り出した。と同時にそこからカードケースのようなものが飛び出た。

「Aさん、何か落ちたよ」
「え？あ、研究室のカードキーですね。ありがとうございます」

　カードキーが入ったケースには可愛らしい鈴が付いていた。

「あれ？ケースに付いているその鈴、どこかで見たことが……」
「そうですか？これは私が高校の時に課題で作ったものですけど……」
「あー……じゃあ僕の勘違いかな？」

　でもどこかで……それも最近見たような……。

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