愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ42)

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★☆　もしも正義があるとしたらページ42

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「だって、Ｉ・アイランドにいてはダイナマイトの素晴らしい活躍が世界から注目してもらえません！！」
「え！？そんな理由！？」

　僕は今、大学の研究室でAさんに熱弁されていた。

　発目さんにサポートアイテムの調整をお願いしようと訪れたところ、Aさんに捕まったというか、なというか……。昨日、あの後どうなったのか気になっていたので控えめに尋ねたら「緑谷さん！聞いてください！！」と今の現状に至るのだった。

「そんな理由って……。緑谷さんなら分かってくださると思ってましたのに……」
「うん。うん。わかるよ。僕だって大好きなヒーローが皆の目に触れなくなるのは寂しいよ。それが自分のためというならなおさら」
「そうですよね！」

　勢いにのまれて怯んでしまったけど、ちゃんと共感を伝えるとAさんの表情がぱあっと明るくなった。さっきまでむすっとしていたので、機嫌は回復したようだ。

「それにしてもかっちゃんがプロポーズ……」
「はうぅ……あの時の爆豪さんの顔、ステキすぎて昇天してしまいそうでしたわ」
「……」
「“結婚しろ”なんてシンプルな言葉が、あんなに輝いて聞こえるなんて……」
「あの……断ったんだよね？」

　僕にはAさんがよく分からない。プロポーズをＯＫして婚約！幸せ絶頂！みたいな反応しているけど、断ってるんだよね？

　

「はい、お断りしました。私の事情で爆豪さんの夢を奪っては申し訳ないので」
「そんなあっさり……。よくかっちゃんが納得したね。ＯＫをもらうまで食い下がりそうなのに」
「いえ、無理矢理話を終わらせて自室に戻りました。今朝は口をきいてもらえませんでしたわ」
「だからあんなに不機嫌だったのか」

　朝、マンションのエントランスで見かけたかっちゃんは、声を掛けるのも憚られるほど不機嫌だった。事情を聞けばそれも仕方がないというか……。

「う〜ん……企業との契約はどうしようもないかぁ」
「当時は就職先が早々と決まってラッキー程度にしか思ってませんでしたわ。百や緑谷さんたちがヒーローデビューして活躍している姿を見て、焦っていたのかもしれません。私も早く科学者にならなくては……と」

　Aさんの夢は科学者だ。ヒーローを手助けするサポートアイテムを作りたくてこの道を選んだ。

　でも、真っ直ぐ進めば進むほど、かっちゃんとの距離は遠のいていく。

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