愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ5)

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「え！？ちょっと！何してるの！？」
「ん？」
「はい？」

　私たちの研究室を覗いて叫んだのは、隣の研究室の女子学生だった。

「ネジを落としてしまったので……」
「そうじゃなくて！なに悠長にしてるの！？大変っ、大変なのよ！？」
「え？」
「何が大変なのですか？」

　慌てた様子で大変を繰り返す彼女に、明が冷静に質問した。

「さっき先輩のチームが天候調整管理装置の実験で、雨雲発生のテストをしたみたいなんだけど」
「ほほう」
「最大出力に設定したまま故障しちゃったみたいで」
「げっ、それはつまり……」

　実験内容に関心を寄せた明だったが、彼女の言いたいことを察してあからさまに顔を歪めた。そして窓の外を見る。

「うわ！なんですかあのどす暗い雲は！？」
「制御不能になったから今から数時間後に雨が降るのよ。そりゃあもう大量に。夜は台風並に風も吹き荒れるって」

　その影響はこの都市全体に及ぶらしく、今のところ装置停止の目処は立っていない。そのためバスや電車等の交通機関を停止すると決定された。

「今ならまだ電車動いてるから急いだ方が良いよ！」

　帰れる時に早く帰った方が良いと忠告してくれた。

「戸締まりは念入りにしておくようにって先生が。じゃ、お先に！」
「ありがとうございます」
「助かりましたわ」

　彼女を見送り、私と明も帰り支度を始めた。戸締まりをきちんとして大学を出ると、まだ昼近くとは思えないほど暗くなっていた。

　空には厚い雲。風もだんだんと強まってきた。

「では私はバスで帰りますので。Aは電車ですよね？」
「はい。バス停、すごいことになってますけど……。気をつけて帰ってくださいね」
「なんとしてでも次のバスに乗り込んでみせます！！では！」

　戦地へ赴く兵士のごとく敬礼をして、大量の人が待つバス停に向かっていった。電車だって乗れるか分からない。経験したことはないであろう混雑を覚悟して、私も最寄りの駅に急いだ。

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