愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ36)

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☆☆　許せなかったのは自分自身ページ36

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　──驚きましたでしょう？ええ、そうです。

　私は幼い頃に一人のヒーローの命を奪っているんです。

　今から十五年前、私が五歳の時でした。そう、緑谷さんもご存知の誘拐事件です。その日は我が百日紅(さるすべり)家がパーティーを主催して開催し、私も参加してました。百もいましたよ。パーティーの時はいつも一緒でしたもの。

　料理もダンスもゲストのショーも十分楽しみました。

　──でも、夜になると決まって“子供は早く寝なさい”と追い出されてしまうのです。いつものことですわ。今思えば当たり前のことなんですけれど、私たちはそれがとても不満でした。だって、夜のパーティーはそれはそれは華やかだと兄から聞いていたんですもの。

　大人ばかりずるい！と、私たちはひっそりと部屋を抜け出しました。中庭から会場を盗み見ようとしたんです。百は見つかって叱られるのが怖くなったのか、部屋に戻りましょうと何度も忠告しましたわ。けれど私は足を止めませんでした。躍起になってたんです。

　そして私は中庭で隠れ潜んでいたヴィランと遭遇。彼らは会場に押し入って、金品を強奪しようとしていたみたいなんですけど、私を確保したことで金銭目的の誘拐に切り替えたようです。

　まあ、結果的に私が拐われたことで招待客には被害が出ずにすんだんですけ……──ええ、そうですわね。そう言う問題ではありませんわね。ふふ、緑谷さんったら。そんなに怖い顔なさらなくても……私は今こうしてピンピンしてますし、事件も解決してますでしょう？でもありがとうございます。

　遅れて中庭に出て来た百が私が拐われるところを目撃していたので、事件はすぐに発覚したのですけれど、相手の方が一枚も二枚も上手だったようで……。それに、捜査の手を阻むように天候がだんだんと悪くなってきましたの。

　もう絶望しかありませんでした。恐怖、後悔、不安。マイナスな感情しかありませんでした。心の中で何度もヒーローに助けを請いました。父に会いたい、母に会いたい。助けて──と。

　たった一つの好奇心がこんな事件を引き起こすなんて思いもしませんでした。

　神様は私に天罰をくだしたのだと諦めかけた時、彼がやってきたのです。生涯忘れることのない……いえ、決して忘れてはいけない。

　私のために命を落としたヒーローのことを──……

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