愛することすら、許されない２【爆豪勝己】 (ページ15)

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☆☆ ページ15

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　爆豪さんとソファーで並び、思いきってビールを飲んだ。ごくり。

「……」
「どうだ？」
「美味しいとは……言えませんわね」

　初めて口にしたビールの感想は、苦い。ひたすら苦い。飲めないこともないが、好んで飲もうと思うほどではなかった。爆豪さんはこれを美味しいと思って飲んでいるのでしょうか……。

「そっか。飲めねえなら残りは俺が飲むけど」
「いえ、せっかくですので全部頂きます」

　もう少し味わってみようと飲み口を近づけながら隣を見る。なんだか懐かしい感じ。こうやって横に並んで喉を潤していると、あの日のことが記憶の底から蘇ってきた。私と爆豪さんが会わなくなったあの日のことが……。

「爆豪さん」
「んあ？」
「どうしてあの時、私(わたくし)にキスしたんですか……？」
「……この前の晩か。あれは、」
「いえ、違います」

　……そうか、“あの時”の言葉だけで特定できないほど、私は爆豪さんとキスをしていたのか。言い出したのは自分なのに、意識したせいで唇が熱く感じる。

「高校の、夏休みの……です」
「がは……っ！？」
「爆豪さん！？」

　ボンッと缶を持つ手から小さな爆破が起こった。飲もうとしたビールが気管に入ってしまったのか、激しく噎せている。

「ごほっ、……いや、あれはっ、…………っ、あ゛ーー！！なに余計なこと覚えてンだよっ」

　珍しく動揺しているようだ。投げやりに言葉を吐く爆豪さんの耳は真っ赤に染まっていた。

「忘れるはずがありません！ずっと……聞きたかったんですから」

　なぜ爆豪さんを怒らせてしまったのか。無意識のうちに気に障ることをしてしまったのではないか。原因を聞きたいと思っていた。でも聞けなかった。怖かったから。

　だから完成した籠手をお兄さまに託したのだ。必要ないと突き返されるのが、……現実を目の当たりにするのが恐ろしくて。

　でもあなたは私の前に現れた。私が作った籠手をずっと使ってくれていて、私を好きだと言った。

「ずっと……嫌われているものだと思っていたんです」
「は……？」
「だって、図書館で待っていても、全然会いに来ていただけないですしっ」
「……いや、それは……」
「百に様子を聞いたら“ずっとイライラしたご様子です”って……。会いにいくのも怖くて……って、爆豪さん！？」
「あ゛ーークソッ！！」

　なぜか爆豪さんは自分で自分の額を拳で殴っていた。

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