愛することすら、許されない【爆豪勝己】 (ページ25)

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★★ ページ25

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　話は今朝へと遡る。

「は……っ！もうこんな時間！？大変ですわ！」
「は？」

　俺がAの言葉をうまく飲み込めず呆然としているそばで、時計を目にしたAはシャツのボタンをはずし始めた。

「な、何しとんだアホッ！！」
「はわわわっすみませんっ、早く着替えないと時間がないんです！！あの、私(わたくし)の服はどこに？」
「ホテルのクリーニングに出した」
「え！？そ、そんな……っ」
「すぐに持ってくるように頼んでやるから、とりあえずボタンを留めろ！」

　フロントに電話でクリーニングに出した服を届けるように言い、ついでにルームサービスを頼んだ。焦るほどではないが、俺も今日は用事があるので支度をしなくてはいけない。

「爆豪さん、顔を洗いたいので洗面所をお借りしてもよろしいですか？」
「ああ」

　Aは自分の鞄を持って洗面台のあるバスルームに向かった。扉が完全に閉められたことを確認して、俺も着替えに取り掛かる。

　荷解きするほど時間に余裕があるわけではないので、いつでもヒーロー活動ができるようにと、手荷物の方に入れていたヒーローコスチュームを取り出す。どうせ出掛ける前に着替えるんだから問題ない。

★

　数分もしない間にクリーニング済みの服とルームサービスが届いた。

「A、服が届いたぞ」
「ありがとうござ──はう……っ！？」

　バスルームから顔を出したAは、俺の姿を見るなりダメージを受けたような声を出した。

「お、おいっどうしたっ？」
「生……ダイナマイト……！！」
「……は？」

　ぐらりと体が揺らいだので何事かと一歩踏み出せば、Aは勢いよく顔を上げて輝きに満ちた瞳を俺に向けた。手で口元を押さえ、頬を赤く染めながら。

「ああ、まさか本物をこの目で拝める日が来ようとは……っ」
「……」

　……そうだった。こいつは“ダイナマイト”に心を奪われていたんだった。俺は複雑な気持ちを抱えつつ、Aの表情を目にしながら立ちすくんでいた。こいつ、本当にダイナマイト(オレ)のことが好きなんだな。

「ああ……素敵……」

　“ダイナマイト”に心を捧げたとか言って、俺の一世一代の告白を突っぱねやがったことは、当然のことながら納得できていない。だから簡単に引き下がるつもりはない。俺はこの数年間で諦めの悪さを学んだ。

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