愛することすら、許されない【爆豪勝己】 (ページ22)

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★★ ページ22

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「あんなクソモブ女ども、秒でつっぱねてやったわ！っつか、そんなんまでチェックしてんのか！？てめーは！！」
「ダイナマイトファンとして当然ですわ」
「……っ、てめーどんだけ俺のこと好きなんだよ」
「ふふ」

　ため息をつく俺の下でAは笑った。俺もつられて「は、」と笑いを零し、Aの背に手を入れて上半身を起こす手伝いをした。起き上がったAは乱れた髪を指で梳いて整える。

　俺も手を伸ばし、癖のある髪に指を通してその毛先を唇に持っていった。

「なあA」
「はい」
「好きだ」
「──……」

　俺が発した言葉にAが息を呑んだ。髪を梳いていた手がピタッと止まり、俺と目を合わせるように顔を上げる。

「……好きだ。だから俺の女になれ」

　こんな言い方しかできない自分は、なんて不器用なんだと心の中で嘲笑する。告白なんて今までの人生で一度もしてこなかったから仕方がねーだろ。俺がそうしたいと思ったことを口にするしか、方法が分からねーんだから。

「まあ、嬉しいですわ」

　目を大きく見開いていたAは目を細めてふわりと笑った。初めて会った時に心を奪われた笑顔。その笑顔を自分だけのものにしたくて。

　やっと手に入れられた。俺は髪から手を離して、優しく微笑む顔に手を伸ばし──、

「でも申し訳ありません」
「……あ？」

　予想にもない言葉に、俺は伸ばしかけていた手を止めた。まるでセールスを断るかのように、Aは淡々と断りの言葉を口にした。

「私(わたくし)はあなたの気持ちに応えることはできません」
「は……な──、」
「だって私……」

　Aの声がスローになり、フィルターがかかっているように聞こえはじめた。

やめろ。

その先は言うな。

俺の気持ちを否定するなら、せめて何も言わないでくれ。

「私の心は彼に……」

やめろ。

他の男の名を口にするな。

それを知ったら俺はそいつを──……、

「────ダイナマイトにすべて捧げましたの」

「……は？」

「私はダイナマイトに心を奪われているんです」

…………んん？

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