愛することすら、許されない【爆豪勝己】 (ページ21)

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★★ ページ21

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「そういう爆豪さんはどうなんですか？」
「……あ？」

　怯えていたはずのAはまっすぐに俺を見据えていた。真剣な眼差しで問うので、俺は思わず身構えてしまった。

「何をだよ」
「ウラビティーさんと三回、百とは二回、他にも女性のヒーローとか若い女優さんとか人気モデルの方とか」
「あン？なんだそれは」
「とある週刊雑誌に掲載されていた方々ですわ。あやしーい場所に向かっていたとか、色濃い時間を過ごしていたとか」
「パトロールの場所が被ったとかだろ！！」

　ヒーローの私生活を暴こうとする記者は多い。ゴシップ記事を専門に扱う奴はどこまでもしつこく、それらしき場面を目撃したら変に脚色して読者の気を引くように記事にする。爆破で追い払ってもキリがない。鬱陶しい奴らだ。

　何度か写真も撮られていた。世間を騒がせたニュースになったこともあった。まともに依頼も受けられねぇくらいに事務所の電話が引っ切りなしに鳴っていたことも……。

「あ゛ー……思い出したわ。女優とモデルはストーカーからの護衛だ」
「私服で護衛ですか？デートではなく？」
「コスチュームだと周りにバレるだろうが！！犯人を取り押さえて逮捕するまでが任務だったんだよ。“ヒーローダイナマイト”が一緒にいたら目的がバレて逃げられるだろーが！！」
「なるほど……そういうことですか。その後、護衛対象からアプローチを受けたとかは？」
「……」
「ふむ、そっちの噂は本当のようですわね。やっぱり裏サイトの情報は信憑性が高いですわ」
「はあ！？なんじゃそりゃ！？」
「だって爆豪さん、会見とかしないので本当のことが分からないんですもの」
「……」

　Aの言う通り、俺はかたくなに取材を拒否していた。誤解されて困る人間が国内にいないから必要ないと思ったんだが、まさかA側は情報を取得できる環境だったとは。

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