愛することすら、許されない【爆豪勝己】 (ページ18)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:137,700 hit

★★　伝えきれなかった想いを込めてページ18

.

「爆豪さんの使っている籠手なんですが」

「あ？」

「重くありません？」

「……あー……付けてたらだんだんそう感じてくるかもな。まぁ、トレーニングには丁度いい」

「トレーニングとしては良いかもしれませんが、いざ戦闘になると負担になったりしますよ。長期戦ならなおさら」

「だったらそこらへんで脱ぎ捨てるわ」

「まぁ！開発者が一生懸命作ったものを捨て置くなんて！」

「あ？ちゃんと後で取りに行くわ」

「そういう問題ではありません！」

「もう……、サポートする側の努力にも目を向けてください」

「へいへい。で？何が言いてーんだよ」

「ただ気になっただけです」

「あっそ」

「爆破を補助するものですから、それなりに頑丈な作りにしていなくては、籠手の方が爆破に耐えられないことはわかってます。でも、もっと軽くなるように設計と使用素材の工夫をすれば……」

「だったらてめーが作れ」

「え？まあ……そうですね。いつかそうできると良いですわ。でもそうなると、まずは開発者に許可をいただかなければ」

「そんなん俺がねじ伏せたるわ」

「そういうわけにはいかないんです！」

★★

　それはいつの会話だっただろうか。

　ああ、そうだ。昔、Ｉ・アイランドの大学を見学した後の会話だ。俺のコスチューム姿とその戦闘スタイルを見たAは、浮かぶ疑問を俺に投げかけていた。

　見学を終えた後のAはやけにテンションが高かった。暑い日差しを避けるように日陰でアイスを食べながらの会話に、一人で盛り上がっていた。俺もどこかでその会話を楽しんでいた。俺の適当な受け答えに反応する様子が面白くて。

　口の端にアイスがついてるぞと、指でAの口元をぬぐってやったら分かりやすく顔を赤くしていた。いや、顔を赤くしたのはその指を俺が舐めた時だったか。

　今考えりゃ、どうしてそんなことを平気でしていたのか。この時はまだこいつに興味がなかったからなのか。……違ぇ。周囲にひけらかしたかったんだ。こいつは俺のもんだってことを。

　当時は無意識だったが、今ならその行動の意図がわかる。好きだったんだ。誰にも渡したくないと思うほどに。

.