愛することすら、許されない【爆豪勝己】 (ページ23)

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★★　月に恋した哀れな太陽ページ23

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「え～では、ダイナマイトさんのパトロールのルートなんですが…………ダイナマイトさん？」
「……」
「あのぉ？おーーい、ダイナマイトさーーんっ」
「……あ？」

　ぼんやりしていた目の焦点を合わせると、警官の制服を身にまとった男が俺の顔の前で手を振っていた。……ああそうか、今はパトロールのルート確認をしていたんだった。

「……悪ぃ。ぼーっとしてた」
「あの……大丈夫ですか？時差ぼけで体調が優れないのでしたら、今日は……」
「──いや、大丈夫だ」

　俺の体調を気遣う警官に片手を上げながら続きを促した。

★

　Ｉ・アイランドには“ヒーロー”が存在しない。完全に外部との接触を断ったこの都市は、ヴィランが襲来して以来はさらに厳重に強化されたセキュリティーシステムで管理されるようになった。

　ヒーロー不在のこの都市の秩序は地元の警官によって保たれている。だからといってヒーローを受け入れていないわけではない。配属を希望するヒーローがいないのだ。

　外部に情報を配信しないということは、ここでの功績が評価されないということ。つまり、ヒーローランキングに必要な査定ポイントが加算されない。ヒーローなんて人気を集めてなんぼの風潮がある中、定住してヒーローをしようなんて思う奴はそうそういないだろう。

　俺が出した二ヶ月も早い申請を許可されたのは、ヒーローのいないこの都市の警備強化に協力することが条件でもあった。Ｉ・エキスポが近いことで、トラブルが起きるかもしれないという不安があるのだろう。

　俺としては、はやくこっちこれるならどんな条件でも飲むつもりでいたが。

　まあ、そう言う経緯があって、こうやって俺は日本にいた時と同じくヒーロー活動をしているのだった。

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