☆★「くっそ面倒くせえけどな」 ページ34
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「お待たせしました」
「まあ、美味しそう！ありがとうございます！」
「ごゆっくりどうぞ」
キラキラ効果を多用した店員(上鳴)が、注文したタルトと飲み物を運んできた。写真通りのフルーツ盛り沢山のタルトを見てAちゃんは目を輝かせている。
「サンキュー上鳴！」
「……ゴユックリドウゾー」
「なんだよその差！！」
上鳴のやつ、あからさまに態度を変えやがって。接客失格だ！客は平等に扱えー！！……と言っても、今は行列ができるほどカフェは繁盛している。俺たちが待ち時間なしで店内に入れたのは、タイミングが良かっただけらしい。峰田も店の端から端まで駆けずり回っていた。
「この調子だと明日からはもっと混みそうですね」
「Ｉ・エキスポ本番だもんねえ」
「今日来て良かったです」
タルトにフォークを差し入れながらAちゃんは言った。上品な仕草でひと口食べて、頬を抑えながら顔をほころばせた。幸せそうだなぁ。
「お二人は今日のレセプションパーティーには？」
「もちろん、呼ばれてるぜ？」
「くっそ面倒くせえけどな」
「そう言うなよ。Aちゃんは？」
「ご招待いただいているので、出席します」
そのためにドレスを新調したらしい。お、爆豪がちらっとAちゃんを見た。なんだかんだ言って興味はあるんだな。俺がどんなに説得しても「行くか」と拒否してたけど、この調子だと出席の方向に持っていけそうだ。
「会場でお会いできたらいいですわね。
「……」
ああ〜……爆豪のテンションがちょっと下がった。
「……あの男もか」
「あの男……？ああ、ええと五条さん……でしたっけ？」
「九条だよ、Aちゃん」
「あら、失礼しました。どうも興味のないことは頭の中に留めておけなくて……」
Aちゃん、忘れるの早すぎ。そしてさらっと『あの男に興味はない』発言をしていた。んお、爆豪のテンションがちょっともどったぞ。
「そろそろホテルに戻って着替えの準備しないといけませんわね」
「まだ時間あんだろ」
「髪のセットに時間が……」
「じゃあとっとと食え」
「それが……思った以上に量があって、お腹の方がそろそろ限界です」
「Aちゃん、良かったら俺が……──あ、」
残ったタルトの処理に立候補したけど、その前に爆豪が一口で平らげた。
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年10月25日 0時
