１１☆★「カシコマリマシタ」 ページ33
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「では、
「え、行っちゃうの！？」
「はい。百や皆さんによろしくお伝え下さい、切島さん」
プラネタリウムに行くと言う緑谷たちの後ろを歩いていたら、Aちゃんは別の方向に歩き出した。近くにいる俺と爆豪に言伝を残して行ったのは、前にいる奴らに気を使ってのことだろう。
足取り軽く離れて行くAちゃんを爆豪は静かに見送っていた。……と思ったら、一瞬で眉間のシワを濃くした。えっ、何、どうしたの？
「──チッ、あんのクソがっ」
「へ！？ あ、爆豪っ」
何を怒ってんだ？と思って爆豪の視線の先を見ると、なんとAちゃんがチャラい男に声を掛けられていた。いわゆるナンパだな。それを見た爆豪がものすごい形相で二人の間に割り込み、Aちゃんを守るように後ろに隠して男を睨みつけた。
「ちょ、爆豪ここで揉め事は……っ」
「すすす、すみいませんでしたぁー！！」
「え？」
爆豪の威嚇にビビったのか、あっさりと男は引いていった。男を追い払った爆豪は、そのままAちゃんの腕を引いて歩き出す。
「あの……？」
「どこに行くつもりだったんだ」
「え……っと、先日から気になっていたカフェに」
「どこだ」
「この先をまっすぐ行ったところです」
たどり着いた場所は、上鳴と峰田がバイトをしているカフェだった。
☆
「ロイヤルミルクティーとフルーツタルトをお願いします」
「オレはええ……と、メロンソーダで！爆豪は？」
「……コーラ」
「以上で！よろしく店員さん！」
「……カシコマリマシタ」
「頑張れよー！」
カフェの制服を着た上鳴に注文を告げてエールを送る。ほぼ無表情で次のテーブルの注文を受けにいった上鳴を見送りながら、俺は向かいの席に視線を戻した。相変わらず自然にAちゃんの隣に座ったな、爆豪。
「爆豪さんたちは行かなくて良かったんですか？プラネタリウム」
「……興味ねえ」
「Aちゃんは良かったの？」
「私は先日見学してきましたので」
「そうなんだ」
Aちゃんはわくわくした表情でメニューの写真を眺ていた。
「このフルーツタルト……。看板を見て気になっていたんです」
「はッ、あんな甘ったるいもんよく食えるな」
「ふふ」
爆豪の呆れた視線を受けながら、店員が運んでくるのを今か今かと待ち望んでいた。
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年10月25日 0時
