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  ☆★「やめたまえ!」 ページ32

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「あの、百日紅(さるすべり)さん、この人たちも……」
「ヒーロー科です」


 僕が小さく質問すると、百日紅さんも小声で答えてくれた。星麗(せいれい)学園ヒーロー科の、雄英に対する敵対意識は健在らしい。蔑むような視線が僕たちに注がれる。


「てンめー、表出ろやっ!!ぶっ殺してやる!!」
「やめたまえ爆豪君!暴力はいけない!」
「そうだぜ、穏便に!な!」


 威嚇の体勢を取ったかっちゃんを、切島君と飯田君が瞬時に抑えてくれた。



「はぁ……野蛮だなぁ。百日紅さん、こんな連中は放っておいて、僕と一緒にお茶でもどうだい?」
「ありがとうございます。お誘いは嬉しいのですが、謹んでお断りしますわ」


 口では丁寧に断っているけれど、声に棘があった。笑顔もどこか冷たい。


「……まだこの者たちと一緒に行動すると?」
「ええ。とても優秀な方達です。さっきもこのアトラクションで好タイムを記録していました」


 未だ盛り上がりを見せる『ヴィラン・アタック』を指して言う。九条さんは視線を会場に向けて鼻で笑ってみせた。


「アトラクション?ああ、これのことか。それなら僕も初日に挑戦したよ。最高記録を叩き出してやったさ」


 君たちと違ってね……と馬鹿にしたように目を細める。



「こンにゃろ──」
「まぁ、それはぜひ拝見したいですわ!九条さんのご活躍!」


 挑発に乗るかっちゃんを遮るようにして、百日紅さんが明るい口調でおだてた。それに気分を良くしたのか、九条さんは「見ていてくれたまえ!」と自信満々に会場に降りて行った。




「……はぁ」


 最後の取り巻きの姿が見えなくなると、百日紅さんはため息をついて僕らに向き直った。そして深々と頭を下げる。


「不快な思いをさせてしまって申し訳ありませんでした」
「いや……」
「では行きましょうか、皆様」


 スタート地点に立つ九条さんに背を向けて、百日紅さんは歩き出す。


「百日紅さん、いいの?見なくて」
「彼の個性では皆さんの記録を塗り替えるなんて不可能ですわ。最高記録と言ってましたが、初日は参加者がほとんどいなかったようですし」
















《お疲れ様で〜す。クリアタイム、一分五秒。第三十二位です!》
《はぁ……っ!!?三十二位!?》


 告げられた順位に驚く九条さんの声が、マイクを通して近くのスピーカーから聞こえた。


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作者名:瑪瑙 | 作成日時:2018年10月25日 0時

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