☆★「そういうの、本当にあるんだ」 ページ27
.
そんなこんなでAちゃんもファミレスに同行することになった。あと、ついでに勉強も教えてくれた。正直言って爆豪よりも分かりやすい。間違えても怒鳴らねぇし。教え方も優しいし。
☆
「
「そういうの、本当にあるんだ……」
「はい。我が社の技術を盗んで展示会を中止させ、自分たちが先に発表して特許を取ろうとしていたみたいですわ」
「ひえぇ……。よし、次の問題にいこ」
雑談をしながら問題を進めていく。ずっと問題のことばっか考えてるとすぐ集中力が切れる。Aちゃんがインターバルをつけてくれるので、問題集を投げ出すことは避けられた。ありがたい。
「やっぱり爆豪さん、ご自分の活躍を皆さんに話してなかったんですね」
「初耳。人質救助とか柄じゃねぇって思ってそうだしなー」
「立派なヒーロー活動だと思うんですけど……」
爆豪はドリンクのおかわりを取りに行ってるので席を外している。この場にいたら即座に職場体験の話を遮っていたに違いない。Aちゃんもそれを見抜いて今話しているのかも。
「あ、切島さん。この式はさっき説明したこの公式を代入してですね」
「お、おう……」
Aちゃんが腰を上げて、前のめりに俺のノートを覗き込む。指を差して説明してくれるのは良いんだけど……か、顔が近い。つか、すっげーいい匂いがする。それに……動くたびに胸が揺れ──……
ダンッ！！！！
「……っ！？」
コップを机に叩き付けるように置いた音で、俺ははっと我に返った。説明そっちのけで意識がAちゃんに向いていた。やべぇ。
「……ぁ」
中身の揺れるコーラの先を恐る恐る見上げると、片目をひくつかせて俺を見下ろす爆豪がいた。こめかみに青筋を浮き上がらせている。
「Aちゃんありがとう！あとは自分でやってみる！！」
ノートを自分に引き寄せて囲い込むように問題に目を通した。Aちゃんの彼氏でもない男(ここ重要)は俺を睨みつけたまま、彼女の隣に腰掛けた。
「おらよ」
もう片方に持っていたティーカップをAちゃんの前に置く。指に挟んでいたシュガーも一緒に。
「ありがとうございます」
「熱いから気ぃつけろよ」
「はい」
カップに手を伸ばすAちゃんに注意を促す爆豪。俺に向けていた鋭い目つきは嘘であるかのように、その視線は柔らかいものだった。
.
０９★★「私がいなくて寂しいですか？」→←０８☆★「ファミレス……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 645人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年10月25日 0時
