あけまして4 ページ5
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爆豪1人のために用意された部屋へAを抱き上げたまま入る。
おそらく隣に両親がいるのだろう。
内容は聞こえないが、母親が酔っている父親に何かを話している声が壁越しに聞こえた。
部屋の真ん中に敷いてあった布団にAを寝かせる。
「おい、起きろ」
「……んんぅ」
もう一度声をかけたが起きる気配はない。
このままここで寝かすわけにはいかないだろう。
なんて考えていると廊下を歩く足音が聞こえた。
「あの」
開いたふすまの前を通りがかった人物に爆豪は声をかけた。
「ん?」
通りがかったのはAの姉の冬美だった。
困った顔をした爆豪に呼び止められ、立ち止まって「どうかした?」と尋ねる。
「Aが……」
「A? あらら。寝ちゃったの?」
爆豪の言いたいことを察して、冬美はAを揺さぶって起こそうとした。
しかし相変わらず夢の中だ。
「起きないわね。いつもなら渋々起きてくれるのに」
「ジュースと間違えて酒を飲んでしまったらしくて」
「……夏ね。まったくもう!」
Aが起きない理由を知った冬美は仕方がない、という表情で立ち上がり、押し入れを開けた。
何をするのかと思えば、Aが眠る布団の隣にもう1つ布団を敷いた。
「はい、どうぞ」
「へ?」
「これで爆豪君もちゃんと布団で寝れるわよ」
「え!? いや、これはさすがに……」
「はじめて来た彼女の家で、しかも両親が隣にいるのに手を出そうなんて思わないでしょ?」
「……まぁ」
そうだけれども、常識的に考えてどうなのか。
なんて口にする間もなく、冬美はかっちりと部屋のふすまを閉めて出ていってしまった。
「……はぁ」
ため息しか出てこない。
安心しきった表情で眠るAが恨めしい。
自分の部屋にAを泊めることはあるが、それとは状況が大いに相違がある。
神経質な爆豪が落ち着いて寝れるわけもなく、眠った感覚がほぼないまま朝を迎えた。
「……あれぇ? なんで私、ここで寝てたの?」
「……」
寝不足の原因であるAは、あくびをしながら部屋を見渡して首を傾げていた。
「おはよう、勝己君」
「……」
スッキリした顔で、のんきに挨拶をするAにイラッとした。
布団の中に引きずり込んで、無邪気に挨拶する口でも塞いでやろうと思ったが、隣室の両親が起きた気配を感じて思い止まった。
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パチ麻呂(プロフ) - 続編うれしいです、作者様もどうかお身体に気をつけてください!ゆっくりでもいいのでずっと待ってます(;_;) (2020年5月8日 0時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - 完結ですか??この作品ものすごく好きだったので完結するのが悲しいです((泣)) (2020年3月5日 20時) (レス) id: 3aa825630d (このIDを非表示/違反報告)
鳳*(プロフ) - えっ、、、イラスト美味すぎん、、、?作品内容もバリ良きだけど、イラスト書いている私からしてもこりゃ上手いわ……! (2020年1月16日 17時) (レス) id: 63e109079e (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - お話は面白いし絵も素敵です。 (2019年10月24日 2時) (レス) id: 4b6f8d26fa (このIDを非表示/違反報告)
ツートップは神でしょ - すいません!轟さんバージョンの作品を見つけました!知らずに聞いてすいません・・・でもこのシリーズとっても大好きなのでこれからも頑張って下さい!! (2019年5月8日 20時) (レス) id: 1be51e16a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑪瑙 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時:2018年11月14日 22時