ある春休みの日に６ ページ37
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「さっきの映画、どうだった？」
上映が終わって劇場から出たところでAは爆豪に尋ねた。
「まァ……悪くはなかった」
「そっか。それは良かった」
爆豪の感想に満足そうに頷き、笑顔を浮かべるA。
“悪くなかった”は爆豪にとっては褒め言葉だということをAはちゃんと理解していた。
「焦凍と癒月ちゃんは行くところがあるみたいだから、私たちは私たちでご飯食べに行こうか」
「……おぅ」
轟たちとは別行動となったことにホッとした。
恋人の兄のカップルと一緒に行動だなんて考えただけで不愉快極まりない。
寮に帰って特訓している方がマシである。
しばらく歩いて適当に見つけたファミレスに入った。
手際よく注文を終えて落ち着いたところで、爆豪はある疑問をAに投げかけた。
「何でこの映画だったんだ？」
「勝己君が見たいって言っていたからって言えばいいんだろうけど、実は違うんだよね」
「あ？」
「この映画ね、お父さんが出てるの」
「エンデヴァーが？」
「うん。ちゃんとエンドロールにも名前が載ってたよ」
だからペアチケットが手に入ったの、とAは付け加えて言う。
「どこに出てたか分かった？」
「出てたことすら知らねーのに分かるわけねーだろ」
「そりゃそっか。あのね、最後にゾンビを焼き払った炎がお父さんの個性で出したものなの」
「役者としてじゃなくて演出かよ！！」
「本物の炎だったら役者さんが本当に焼け死んじゃうからね〜」
確かに普通の炎にしては迫力が段違いだったと思い返してみる。
あの演出があったからこそ、最後のゾンビ殲滅はすっきりとした爽快な後味となっていた。
「私は違うのが見たかったんだけどね。それだと勝己君が面白くないだろうし、せっかくチケットをくれたお父さんにも悪いし」
「……ちなみに何が見たかったんだ」
「今すんごい流行っているベッタベタのラブストーリーのやつ」
「……別に。見たいんなら」
ほーら嫌でしょ？と表情で語りかけてくるAに対して前向きな返事をすると、予想していなかったのがきょとんと目を見開いた。
「え、いいの？」
「途中で寝ても文句言うなよ」
「えー努力はしてよね」
リアリティのない夢見がちな内容だったら速攻で寝てやる。
それでもAはまた問いかけるのだろう。
「さっきの映画、どうだった？」
──と。
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パチ麻呂(プロフ) - 続編うれしいです、作者様もどうかお身体に気をつけてください！ゆっくりでもいいのでずっと待ってます(;_;) (2020年5月8日 0時) (
レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - 完結ですか？？この作品ものすごく好きだったので完結するのが悲しいです((泣)) (2020年3月5日 20時) (レス) id: 3aa825630d (このIDを非表示/違反報告)
鳳＊(プロフ) - えっ、、、イラスト美味すぎん、、、？作品内容もバリ良きだけど、イラスト書いている私からしてもこりゃ上手いわ……！ (2020年1月16日 17時) (レス) id: 63e109079e (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - お話は面白いし絵も素敵です。 (2019年10月24日 2時) (レス) id: 4b6f8d26fa (このIDを非表示/違反報告)
ツートップは神でしょ - すいません！轟さんバージョンの作品を見つけました！知らずに聞いてすいません・・・でもこのシリーズとっても大好きなのでこれからも頑張って下さい！！ (2019年5月8日 20時) (レス) id: 1be51e16a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時：2018年11月14日 22時
