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彼の名前 ページ6

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Aは保健室の扉をノックし、音を立てないようにゆっくりと開いた。





「失礼します」



ベッドで寝ている生徒がいるかもしれないと思い、小声で入室の挨拶をする。



「やあ、来たね。今は誰もいないから気を遣うことないよ」


椅子に腰掛けているリカバリーガールは、お菓子を頬張りながら笑顔で歓迎した。




「急に呼び出して悪いね」
「大丈夫だよ」


まるで友達同士のような会話。
雄英に入学する前から交流があるので、これが彼女との通常のやりとりだ。




他に人がいるときは生徒として敬語で話すが、今は2人きり。
“気を遣うことないよ”と言ってくれたのでAは、普段通りに接することにした。





「ちょっとこれを運ぶのを手伝ってほしいのよ」
「はーい」


リカバリーガールは積み上げられた段ボールを指差した。
そのうちの1つを持ち上げる。




「そういえば、最近は眼鏡をつけていないんだね」
「え? あ……うん。コンタクトにしたの」
「1つにまとめていたおさげも2つに分けたんだね。似合ってるよ」
「ありがとう」





Aが見た目を変えたのは、先日会った彼の影響だった。





1年A組、ヒーロー科の轟焦凍。
燃焼系ヒーロー・エンデヴァーの息子。


彼ははっきりと分かれた2色の髪を堂々とさらしている。
色の違う瞳だけでなく、火傷の痕も隠していない。




対してAの髪と瞳の色は言われないと分からない程度に微細なもの。
この程度で気にしている自分が恥ずかしくなった。



瞳の色を隠していた眼鏡をやめてコンタクトにし、1つにまとめて誤魔化していた髪もきっぱりと2つに分けて肩口で結んだ。



過去の自分に“さよなら”をするために。



(なんだか、心が軽くなった気がする……)


それもこれも、彼のおかげだ。












轟焦凍といえば──



誰もが見惚れる容姿と優秀な成績で、彼に恋心を抱いている女子は多いらしい。



そんな人のブレザーのボタンを持っていると知られたら、大変なことになるだろう。
返そうにも人目のあるところでは自分の命が危ない。




いつでも返せるようにお守りの中に隠して持ち歩いているのだが、なかなか機会が得られなかった。



(でも……)



いつか彼に会いにいこう。





ボタンを返して、自分を変えるきっかけをくれたお礼を言うんだ、と心に決めて──……


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設定キーワード:ヒロアカ , 僕のヒーローアカデミア , 轟焦凍   
作品ジャンル:アニメ
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ヨシ - 爆豪の方も、こちらの話も、好きです!更新頑張ってください! (12月5日 21時) (レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 私癒月ちゃんの方が好きかもです。 是非続編希望します。この作品が、シリーズの中で一番好きです! (11月11日 0時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
シャララデルモ - 完結おめでとうございますッス!絵がとても上手いんですね!羨ましいッス!新作も期待してますッス! (2018年8月9日 23時) (レス) id: ae0a67348a (このIDを非表示/違反報告)
秋葉 - 完結おめでとうございます!でも願わくば続編を希望します…!とてもおもしかったです!! (2018年8月9日 20時) (レス) id: 7efc50ba9d (このIDを非表示/違反報告)
まめこ - 完結おめでとうございます!イラスト可愛い!頑張ってください! (2018年8月9日 19時) (レス) id: c944c1b12f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑪瑙 | 作成日時:2018年7月21日 1時

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