勇気 ページ25
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今まで自分のことを詳しく話したことはなかった。
クラスで一番仲の良い発目でさえも、Aがリカバリーガールの孫ということしか知らない。
誰にも言えなかったことを吐露することができて、すこしスッキリした。
(それに……)
轟の優しさについ甘えてしまった。
頭を撫でる手が優しくて、涙が出そうになるのを堪えながら彼に身を寄せた。
数日後に親族での集まりがある。
その時に備えて、心を強く保てるように──……
＊＊＊
日曜日。
Aは憂鬱な気持ちで寮を出た。
行きたくもない親族会議に出席するために。
そこまで畏まった席でもないが、わざわざオシャレしていくようなところでもない。
Aはあえて雄英の制服を選んだ。
「あれ？ Aちゃんだ」
「え？」
声を掛けられて振り返ると、熾雪と轟が並んで歩いていた。
仲良く手を繋いでいる。
そういえば休日は母親の見舞いに行っていると聞いた。
お互いに電車の時間が迫っているので、歩きながら話すことになった。
轟を真ん中に挟むようにして並んでいる。
熾雪がぴょこっと顔を前に出してAを見た。
「Aちゃんが制服着てるの珍しいね。いつも上はジャージなのに」
「……今日、親戚の集まりがあるんです」
「法事？」
「いえ……ただの親族会議です」
Aが告げると、轟はわずかに眉を動かした。
「大丈夫なのか？」
「はい。この前、轟君に勇気をもらいましたので、いつもよりは気分が楽です」
「勇気？」
「頭を撫でてもらった時に……、頑張れるかなって……」
恥ずかしくて小さく呟けば、轟は「ああ……」と思い出したように声を漏らした。
そして、ぽんっとAの頭に手を置く。
「えっ？」
「もうちょっと充電しておいてやる」
「あぅ、ぁりがとう……ございます？」
驚いて変なイントネーションになってしまった。
まるで動揺が隠せていない。
(っていうか、熾雪さんの前だよね！？)
熾雪の反応が不安だったが、「焦凍、私も〜」と言って、Aと同じように頭を撫でてと催促していた。
轟が「繋いでる手を離さねえとできない」と言えば、「う〜ん、じゃあいいや」と潔く諦めた。
「じゃ、俺たちはこっちのホームだから」
「気をつけてね〜」
「はい」
駅のホームは反対だったので改札を通ったところで分かれる。
２人のおかげで陰鬱な気持ちをやわらげることができた。
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moeka(プロフ) - こちらの続編と轟兄妹との絡みを希望します。ぜひ検討して下さると嬉しいです。楽しみに待ってます。 (2021年6月28日 22時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
silver - どっちも好きですが、こっちが好き！ 続編を希望します！ (2020年11月7日 15時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - 私はどちらかと言えば癒月ちゃんの話の方が好きです。こちらの続編を希望します！ (2020年3月23日 5時) (レス) id: acabdf4bd5 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 爆豪の方も、こちらの話も、好きです！更新頑張ってください！ (2018年12月5日 21時) (レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 私癒月ちゃんの方が好きかもです。 是非続編希望します。この作品が、シリーズの中で一番好きです！ (2018年11月11日 0時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年7月21日 1時
