轟焦凍２ ページ24
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(次代のリカバリーガール……)
焦凍は心の中で呟く。
Aもまた、周囲の大人たちに将来を期待されていた。
リカバリーガールはオールマイトと違うベクトルで有名だ。
その重圧は自分よりも重いものに違いない。
「あ、お婆ちゃんと同じ個性は親族には秘密にしてるんですけどね。それを知られたら完全に私が後継になっちゃいますから」
「知られているのは右の『癒し』の個性か？」
「はい。でも、完全に治るまですごく遅いじゃないですか。それを……」
そこで言葉を切って左腕に右手を添えた。
ぎゅっと抱えるように体に寄せる。
「母の個性のせいだっていう親戚もいて……」
Aの綺麗な藍と瑠璃の瞳が揺れた。
「相応しくないって言う人もいるんです……。でも、私しかいないから仕方がないとも……」
「……」
まさに板挟み。
父親の野心をぶつけられている自分より複雑な立場にいるAを見て、何を言っていいのか分からなくなった。
「あと、祖母の個性を引き継がなかった従姉からの嫌味は特にひどくて……」
「それは」
「完全に八つ当たりです。彼女は『リカバリーガール』になりたかったんです」
でも引き継いだのは別の個性。
自分が望む個性を持つAに嫉妬していた。
「私の髪と瞳の色を、気持ち悪いって……悪意を込めて言うんです」
「……」
「特に母親の個性を引き継いでいる左手で物を触るなとか、こちらに左を見せるなとか──……」
Aは苦しそうに笑っていた。
それが見ていられなくて、気がつけば焦凍はAを抱きしめていた。
どうか自分を蔑まないで欲しい。
お前の左も右も綺麗だ。
言葉よりも先にAを引き寄せていた。
「とど、ろきくん……？」
腕の中にいるAはぱちぱちと目を瞬いてから、舌足らずに自分の名前を口にした。
そこで我に返った。
「あ……わ、悪ぃ」
Aの体から手を離そうとすると、シャツの裾をぎゅっと握る感触が伝わってきた。
「あの、差し支えなければなんですけど……もう少しだけこうしてもらって良いですか？」
Aは窺うように焦凍を見上げた。
「……ああ」
頷くと縋るようにシャツを握る手が、おずおずと背中に回った。
小さな体を包み込むように抱きしめて熾雪にするように頭を撫でてやると、Aは静かに目を閉じた。
傲慢かもしれないが守ってあげたいと思った。
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moeka(プロフ) - こちらの続編と轟兄妹との絡みを希望します。ぜひ検討して下さると嬉しいです。楽しみに待ってます。 (2021年6月28日 22時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
silver - どっちも好きですが、こっちが好き！ 続編を希望します！ (2020年11月7日 15時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - 私はどちらかと言えば癒月ちゃんの話の方が好きです。こちらの続編を希望します！ (2020年3月23日 5時) (レス) id: acabdf4bd5 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 爆豪の方も、こちらの話も、好きです！更新頑張ってください！ (2018年12月5日 21時) (レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 私癒月ちゃんの方が好きかもです。 是非続編希望します。この作品が、シリーズの中で一番好きです！ (2018年11月11日 0時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年7月21日 1時
