様子見 ページ11
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Aはお守りからボタンを取り出して、人差し指で触れていた。
(轟君、ボタンのこと触れてこなかったな……)
というより、おそらく轟はAが髪を絡ませた女子生徒だと気づいていない。
月日が経って記憶が薄れている上に、眼鏡をやめて髪型を変えているので当然だろう。
(このまま黙っておくべきか、それともタイミングを見て話すべきか……)
＊＊＊＊
Aは解体作業を中断させ、サポートアイテムの制作に尽力していた。
轟のオーダーは体温の変化に応じて自動で調節してくれるリストバンド。
背中についているヒーター兼ラジエーターを、腕周りにもつけたいらしい。
轟は休み時間や昼休みに暇を見つけては工房に顔を出した。
今日も授業が終わった後に来ていた。
進行具合が気になるようだ。
作業を進めるAの邪魔にならないように、少し離れたところで座って見ている。
「……最近、熾雪の様子がおかしいんだ」
「熾雪さん？」
独り言にしては大きい轟の呟きに反応して、Aは発目から完成品の説明を受けている熾雪を見た。
……が、知り合ってまだ日が浅いのでAにはなんともいえない。
「どこがおかしいんですか？」
「……空元気っていうのか？ 無理して普通に振る舞っているようにみえる」
轟は横目で熾雪を見ながら「多分、俺にしか分からねぇが」と言った。
兄妹間でしか分からないことがAに分かるはずはない。
「熾雪には好きな奴がいるんだが、そいつのことを急に避けるようになった」
「えと……告白してフラれたとかですか？」
「いや、そいつも……っていうか、そいつの方が先に熾雪を好きになったはずなんだが……」
口に手をあてながら眉を歪める轟。
嫌悪感を増す言い方からして認めたくないのだろう。
「その方の様子は？」
「熾雪以上に変だ。なんていうか、荒れている？ 熾雪の話題を出すといつも以上に機嫌が悪くなる」
「……多分ですが、お２人の間で何かあって変に拗れてるんじゃないですか？」
適当な意見なので、「話を聞いただけの外野の見解ですけど」と付け足しておく。
「案外、腹を割って話し合ってみれば解決したりするのでは……なんて」
「そういうもんなのか……」
「あ、いえ。傍観者だからこそ軽々しく言えるんですけどね」
「……」
轟が考えるように黙り込んだので、Aは自分の作業に戻った。
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moeka(プロフ) - こちらの続編と轟兄妹との絡みを希望します。ぜひ検討して下さると嬉しいです。楽しみに待ってます。 (2021年6月28日 22時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
silver - どっちも好きですが、こっちが好き！ 続編を希望します！ (2020年11月7日 15時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - 私はどちらかと言えば癒月ちゃんの話の方が好きです。こちらの続編を希望します！ (2020年3月23日 5時) (レス) id: acabdf4bd5 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 爆豪の方も、こちらの話も、好きです！更新頑張ってください！ (2018年12月5日 21時) (レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 私癒月ちゃんの方が好きかもです。 是非続編希望します。この作品が、シリーズの中で一番好きです！ (2018年11月11日 0時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年7月21日 1時
