ユーフォリック・シンフォニー【爆豪勝己】 (ページ25)

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　　　「そういうことしてくれるの、今のうちだよ」ページ25

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保育園に預けていた勝凍と火月を迎えにいって実家に戻ったAは、今日の検査結果を報告するために爆豪を待っていた。

「おかえり〜……あれ？勝己君、腕どうしたの？」

半袖から伸びる腕に、幾つものガーゼが貼られているのを見てAが尋ねた。
ああ、これか……と爆豪は自分の腕に目をやる。

「気づかねぇうちに火傷してた」
「え！もしかして私を助けてくれた時！？どうしよう…っ、癒月ちゃん、もう関西に帰っちゃったし……」
「こんくらいほっときゃ治るだろ。見た目ほど痛みはねぇ」

と、本人は言っているがおそらく気を遣っているのだろう。
並べられた座布団の一つにあぐらをかいて座り、スマホをいじり始めた。

「おじちゃま怪我したの！？」

Aと爆豪の会話を耳にした火月が背中に抱きつき、爆豪に顔を近づけた。

「火月がチューして治してあげる！」
「効果ねぇだろ」
「むぅ」

焦凍が怪我をした時に癒月に治してもらっているのを見ている火月は、爆豪が怪我をした時に同じようにキスをしようとしてくる。
残念ながら癒月の個性は受け継いでいないので傷は治らない。

「いいじゃん、してもらいなよ。そういうことしてくれるの、今のうちだよ〜」
「──チッ、」
「ちゅー」

嫌々ながらも姪からのキスを頬に受ける姿をAはニコニコと眺めていた。
それから爆豪が夕食を食べている間に子供たちをお風呂に入れて、「今日はじぃじと寝る！」「おじいちゃまがいいー！」と聞かない勝凍と火月の寝かしつけを父親に任せた。

「勝己君、お風呂空いたよ」
「ん」

爆豪に勝凍の話をしなくてはと思ったが、時間的に後の方がいいと判断して爆豪に入浴を勧めた。

「あ、お風呂入る前に防水の絆創膏貼ってあげる。上着脱いで」
「おぅ」

自分で使おうと思っていたお風呂用の絆創膏を救急箱から取り出した。
それに付け替えるため爆豪の腕からガーゼを剥がしていったが──、

「え……」
「どうした」
「……火傷、ないけど？」
「は？」

ガーゼの下には火傷のような傷は一切見当たらなかった。

＊＊＊

後日、火月の個性も再検査したところ、“火傷限定で傷を癒す”個性が備わっていることが発覚した。
これには焦凍も癒月も驚いて、しばらくぽかんと口を開けたままだった。

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