ユーフォリック・シンフォニー【爆豪勝己】 (ページ21)

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　　　「共通点？」ページ21

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それは遡ること数十分前のことである。

「お」
「あ？ ──チッ、テメェもかよ」

爆豪は轟と顔を合わせるなり表情を歪ませた。
しばらくの間は静岡寄りのエリアを担当できるように静岡のヒーロー協会に交渉に来たのだが、どうやら轟も同じことを考えていたようだった。

癒月が関西に出張なので、火月を連れて実家に戻るつもりかもしれないと悟った爆豪はさらに不機嫌になった。

「ダイナマイト、ショート！ちょうどいい。話がある」
「叔父さん」
「……エデュケイター」

Aと轟の叔父であり、エンデヴァーの弟でもあるエデュケイターが２人を見つけて駆け寄ってきた。
深刻な表情をしていたので、ただの挨拶ではなさそうだ。

「ダイナマイト。Aは事務所に顔を出してるのか」
「あ？ ……たまに」
「今日は？」
「Aはしばらく親父の家にいるみたいだ」

最後の質問には轟が答えると、エデュケイターは険しい表情を緩めた。

「そうか……。しばらくの間、Aは外出を控えるように言っておいてくれ」
「なんかあるンすか」
「ある共通点を持ったプロヒーローが襲われている。ここ数日で１０件近く」
「共通点？」

エデュケイターはゆっくりと頷いた。

「襲われたプロヒーローの共通点は“ヒーロー免許を持っているにも関わらず、一度も実績をあげていない”ということだ」
「！？」

爆豪と轟は顔を見合わせた。

「データベースに侵入して実績表を盗んだのは……」
「……っ！？オイ待て。Aもその“共通点”に当てはまってんじゃねぇか！！」
「今って家にいるよな。親父がいるから心配ないと思うが……っ」
「ウルセェ黙ってろ！今確認する！」

爆豪はプライベート用のスマホを取り出し、履歴の一番上にあるAに電話をかける。

「オイ、お前今どこにいる──は！？今すぐ帰れ──いや、そこどこだ──……っ、公園かよ！どこか人の多い場所に移動しろ！そしたら俺が迎えに行ってやるから！オイっ！聞いてんのか！？ Aっ！」

話の途中で軽い雑音が入り、数秒の沈黙の後にスマホが地面に落ちる音がした。
嫌な予感が全身を駆け巡った。

『ママ！』
『Aママ！』

怯えるような子供たちの声がAを呼んでいる。
そこで何かが起こっているのは明白だ。

『来ちゃダメ！ ──逃げて！ ──いいから逃げなさいっ！』

瞬間、爆豪は窓から飛び出していた。

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