ユーフォリック・シンフォニー【爆豪勝己】 (ページ18)

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０５◇「オイ、お前今どこにいる」ページ18

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夕食の買い物をするために子供たちを連れて街に出た。

「日曜だから人が多いわねー」

交差点を横断する人々を見て姉の冬美が口を開いた。

「ほんとだね。２人とも、離れないでね」
「はーい」
「はぁい」

Aと手を繋ぐ勝凍と冬美と手を繋ぐ火月はいい子に返事をした。

「あ、おじちゃまだ！」
「え？」
「パパ？どこ？」
「あれ！」

火月が指をさしたのは高いビルの側面に備え付けられた大型スクリーンに写っていた爆豪だった。
近々ヒーローのドキュメンタリーを放送するのでその予告CMだった。
最近活躍しているヒーローを取り上げたものらしく、緑谷や麗日の姿もあった。

「あ！今焦凍おじさんも映ってた！見た？ねえ見た？」
「うん、見た見た。ほら、もうすぐ信号変わるから急ぐよ」
「お父さんだ〜！」
「火月ちゃん、歩いて歩いて！」

画面に映った父親の姿を見てはしゃぐ子供たちの手を引いてAと冬美は横断歩道を進んだ。
インタビュー混じりの少し長いCMなので立ち止まってしまうのは周囲の人も同じで、信号が変わる気配を感じた彼らも急いで横断歩道を渡り切っていた。

少し歩いた先にあった銀行を見て冬美が「あっ」と声を出した。

「ごめん、A。ちょっとそこのATMに用があるから行ってきていい？混んでるから時間かかるかもしれないけど」
「わかった。あっちの公園で待てるね。火月、こっちにおいで」
「はーい」

ちょうどいい場所に公園があったので、そこで子供たちを遊ばせて待つことにした。

公園には誰もいなかった。
意外に穴場なのかもしれない。
２人はまずすべり台を見つけ、交互に滑っていた。
それをベンチに座って眺めていると、カバンの中のスマホが着信を告げた。

「あれ？勝己くんだ」

こんな時間に電話とは珍しいと思いながらAは通話に出た。

「もしもし」
『オイ、お前今どこにいる』
「今？お姉ちゃんと一緒に買い物しに街に出てるよ」
『は！？』

外に出ていることを告げれば爆豪の声は不機嫌なものになった。
何かまずかったのだろうか。

『今すぐ帰れ──いや、そこどこだ』
「ここ？ショッピングモールの近くにある公園」
『……っ、公園かよ！』
「え、さっきから何？どうしたの？」
『どこか人の多い場所に移動しろ！そしたら俺が──』

爆豪が話している途中で硬い何かが飛んできて、Aの手からスマホを弾き飛ばした。

「──……え？」

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