ユーフォリック・シンフォニー【爆豪勝己】 (ページ17)

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　　　「昨日はよく眠れた？」ページ17

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「昨日はよく眠れた？」
「……おかげさまで」
「勝凍君もいい子に寝てたよ。勝己君はお仕事行ったの？」
「出勤に時間がかかるから」
「そっか」

事務所との距離が遠いのにわざわざここまできてくれる爆豪の優しさが染み渡る。
今日も疲れているのに帰ってくると言っていた。

「そろそろ火月ちゃんが来る時間ね。お父さんが焦凍のところに迎えにいって帰ってくるって」

現役No.１ヒーローでも孫にはデレデレなエンデヴァーであった。

＊＊＊

お昼前に火月がやってきて家の中は賑やかになった。
子供達にお昼ご飯を食べさせて、干していた洗濯物を入れて畳んで。
一仕事終えたAは居間へと戻る。

「お姉ちゃん、洗濯物畳み終わったよ。あれ？勝凍と火月は？」
「お父さんのところ」

テレビを見て寛いでいた姉がせんべいを齧りながら答えた。

「勝凍と火月がね、“ママを守るために修行をつけて”って」
「え」
「やっぱりAが何かに怯えていることを見抜いていたみたいね」
「ダメだな私……」

姉の隣に座って反省すれば、「はい」とせんべいの入れ物が差し出された。

「修行って……お父さんが？」
「大丈夫よ。さっき道場に様子を見に行ったら楽しく鬼ごっこして遊んでたから」

焦凍が特訓させられていた光景が思い浮かんで不安になったが、実際はただ孫とじゃれているだけのようだった。

「ママー」
「Aママー！」

パタパタと廊下を駆けて戻ってきた勝凍と火月は競うようにAに抱きついた。

「あれ？２人だけ？じぃじは？」
「おじいちゃまは疲れたから寝るって」
「つまんなーい！」

Aの質問に火月が答え、勝凍が文句を言った。
さすがに夜勤明けで孫の相手をするのは疲れたようで、父親は睡眠をとることにしたらしい。

「それじゃあ夕食のお買い物に行きましょうか」
「買い物！」
「火月おやつ欲しい！」
「はいはい」

テレビを消して冬美が立ち上がると、２人の顔がぱあっと明るくなる。
勝凍と火月はAから離れて今度は冬美に抱きついた。

「お姉ちゃんおもちゃ買って〜」
「火月も！」
「ふふふ、しょうがないな〜」
「ちょっと２人とも。お姉ちゃんもあんまり甘やかさないでよ」
「私が買ってあげたいのよ。Aも色々と買いたいものがあるでしょ？買い物してる間は私が勝凍と火月を見てるから」
「……ごめん。ありがとう」

何から何まで気遣ってくれる姉に心から感謝した。

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