ヒロイック・シンフォニー【Secret】 (ページ33)

今日:1 hit、昨日:17 hit、合計:244,428 hit

　　　「なに強がってんだよ」ページ33

.

「ねぇ勝己君、聞いて……」
「上鳴が昼間におめーと男が一緒にいたところ見てんだよ」
「ち、ちが……、それ勘違い！！」
「黙れ」

どんなに訴えても耳を傾けてくれない。
酒が入っているせいか、仕草も言葉も乱暴になっている。
Aは個性で氷を生成し、爆豪を拘束しようとした。

──しかし、その氷は無惨にも爆発音とともに砕け散っていった。
細かくなった氷と水滴が床を濡らす。

振り返った爆豪は熱を持った片手を浮かせて嘲るように言った。

「は……、こンくらいの氷で俺がやめるとでも思ったんか？」
「……っ！？」

無理矢理“こと”に進めようとする爆豪は、Aが氷を発生させれば身を引いてくれた。
……今までは。
それは個性の相性で敵わないと判断してのことだと思っていた。

──違うのだ。

普段はAの意志を汲んで、それ以上の手出しをしなかっただけ。
ヒーローとして鍛錬を積んだ爆豪と、少し個性の扱いが上手いA。

男女の差も相まって力の差は歴然としていた。

「俺に個性を使おうとしたな？逃げる気だったんか？あ゛？」
「ご……ごめんなさい！でも、違うの！冷静に話をしたくて」
「あぁ、話なら聞いてやるよ」

真顔に戻った爆豪はAを抱き上げる。
気づけば、薄暗い部屋のベッドの上に押し倒されていた。

細い手首は簡単に爆豪の片手におさまり、頭の上で両手を拘束される。

「んで？その男とはどういう関係だ？どこまでヤった？」
「だから違……っ、ん……」

否定の言葉は爆豪の唇によって塞がれた。
舌が捩じ込まれ、酒気を帯びた息が口内に広がる。

「ん……はぁ、うぅ……ッ」
「ンに泣いてんだよ。そんなにソイツが良いのか？」

誤解を解きたいのに、させてもらえない。
そのもどかしさと解ってもらえない悔しさで、さらに涙は溢れてくる。

「だって……話、」
「だから聞いてやってるだろ？俺よりヨかったんかって？」
「……っ」

見当違いの言葉にAは言葉の抵抗をやめてギロリと睨みつけた。

「ハ、なに強がってんだよ。そんな格好で」
「ん……ぁ、」

自由な片手によってすでに服は取り払われている。
腕を抜かないと脱げないシャツも、ボタンがすべて外されて意味をなしていない。
太ももの内側から中心へと手が這い、触れた瞬間にぴくっと体が反応してしまった。

爆豪はクク……っと笑い、快感に身を捩るAを見下ろしていた。

.