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   「俺もそう思う」 ページ26

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「じゃあ、私は帰るから」


夕食を終え、食器の片付けを済ませたAはテレビを見ていた爆豪に言った。
爆豪はこちらに視線を移し、荷物をまとめるAを見つめる。



「……A」
「なに?」
「しばらく泊まれ」
「はい?」
「夏休みなんだろ?」
「んー……でも、バイトもあるし」



泊まるのはやぶさかではないが、バイト先であるエンデヴァー事務所が遠くなる。
かといって怪我をした爆豪を1人にするのも少し不安だ。


「あ、じゃあさ!」


Aは少し考え、思いついたことを提案した。


「……あ?」
「勝己君がうちにくる?」















****


自宅マンションの扉を開けると、奥のリビングに明かりがついてた。
よく知っている靴が丁寧に玄関の端に置かれている。


Aは嬉しそうに口の端をあげた。



「焦凍!」
「お、Aか。おかえり」
「ただいま〜」


リビングに入るなりAは大好きな兄の名前を呼んだ。
風呂上がりでまだ髪が濡れている焦凍は、優しく微笑んで妹を出迎えた。





「……んで、てめーが居んだよ」


Aの後ろから顔を出した爆豪が嫌そうに呟く。


「明日、朝早ぇからこっちに泊まろうと思って」
「あーあーソウデスカ」


爆豪は適当に受け答えしてどさっとソファーに座る。
足をあげてふんぞり返るが、右腕を骨折しているのであまり格好はついていない。
焦凍はそんな姿を見つめた。



「怪我したんだってな」
「癒月ちゃんがいないから、治してもらえないんだよねぇ」


まだまだ未熟と言われる次世代の“リカバリーガール”である癒月。
医療界の上層部からは年齢や経験の浅さから一人前とは認められないと、なかなかに厳しい言葉を浴びせられる。
それでもめげずに慰問を続け、患者を救う姿に人々は感銘を受けた。
それがまた彼らの反感を買うのだ。




今では癒月の患者には手を出さないという暗黙のルールーが出回っている。
もちろん嫌がらせ目的で。


爆豪が他の医者に治療してもらえないのはこれが原因でもある。



「悪ぃな、爆豪」
「……別に。こンくらい平気だわ」


なんだかんだ言って爆豪は癒月を信頼しているのだ。


「癒月ちゃん、はやく帰って来ないかなぁ」
「俺もそう思う」
「焦凍は単に癒月ちゃんに会いたいだけでしょ?」
「ああ」


仲のいい兄妹の会話に、怪我をしている本人は「どーでもいーから早く寝かせろ」と気怠そうに目を尖らせた。


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作者名:瑪瑙 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320  
作成日時:2018年9月14日 22時

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