ヒロイック・シンフォニー【Secret】 (ページ24)

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　　　「お前も一緒に決まってんだろ」ページ24

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「そうだ、ダイナマイト君」
「あ？」

歳も近く、それなりの付き合いになる透流(とおる)は気さくに爆豪を呼んだ。

「君が庇った患者が、ぜひお礼をしたいと言っているんですが」
「いらねぇ」
「じゃ、断っときますね」

予想通りの答え、と言わんばかりにあっさりと了承した。

「庇った？」

珍しい単語を耳にしたAは、疑問を浮かべて爆豪を見上げる。

「１人だけ逃げ後れてたんだよ。そこに脳無が突っ込もうとしたから咄嗟に腕で受け止めた」
「それが骨折の原因？」
「ん」

爆豪の頷きに、Aは吊られた右腕を見る。

脳無の攻撃を受け止めて怪我を負った腕を。
誰かを助けるために犠牲になった腕を。

「籠手がなかったら、ぐっちゃぐちゃだったみたいですよ」
「え！？」

透流が口にしたまさかの事実に驚きの声を上げる。

「現に籠手は粉々ですし。強固に作ってくれたサポート会社に感謝ですね」
「だね、勝己君。この程度ですんだのも頑丈な籠手のおかげだよ」
「あ～～……新しいの申請すんの面倒くせぇ」

身を守ってくれたことへの感謝よりも、発注の面倒くささの方が強い爆豪は遠い目をしていた。

「しばらくは安静に。いいですね？」
「へいへい」

荷物をまとめて病室から出る。
病院側で用意してくれたタクシーで爆豪のマンションへと送り届けてもらった。
Aも片手が不自由な爆豪の世話のために同行した。

午前に襲撃があり、解決して検査やら怪我の処置をして、今は１９時を回っている。
夏なので外はまだ明るいがすぐに暗くなるだろう。

Aは冷蔵庫の中を覗いた。

「冷蔵庫の中のものでなんとかなるかな。勝己君、晩ご飯はそれで良い？」
「んー……」

相当疲れているらしく、爆豪はソファーに沈み込むように座っていた。
Aはその顔を覗き込む。

「もう寝る？ならベッドで……」
「風呂」
「え？」

寝室を指差すAの腕を掴み、立ち上がった。

「汗が気持ち悪ぃ。風呂入るぞ」
「うん。じゃあ沸かしてくるね。私はご飯作っておくから」
「お前も一緒に決まってんだろ」
「ぐ……っ」

嫌な予感がして先手を打とうとしたが無駄だった。

「あ？こんな状態でなんもしねーわ。オラ、とっとと脱がせろ。軽くシャワーだけでいいから」
「……信じるからね？」
「おぅ」

Aの言いたいことを察した爆豪はそう言うが……。
にやりと笑うその顔は、果たしてどういった意味なのか。

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