ヒロイック・シンフォニー【Secret】 (ページ17)

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　　　「いいから大人しく掴まっとけ」ページ17

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時間は２１時過ぎ。
街灯の明かりが照らす夜の街をパトロールする。

合コンは１９時から始まると言っていた。
今頃、上鳴が主体となって盛り上がっているに違いない。
殴り込みにいきたいが、勤務中なのでどうにも手が出せない。

(場所はこのあたりだったか……)

店の場所は上鳴から聞き出している。
パトロール圏内であることをいいことに、自然と足はその方向に向かっていた。

ドゴォ……ンッ！！！

「あ！？」

自分が向かおうとした方向から、何かが破壊されるような激しい音がした。
爆豪は反射的に走って向かった。
野次馬ができていたので、すぐに場所は特定できた。

「なっ、」

そこはまさにAたちが合コンをすると言っていた店。
店からは慌ただしく客が出てきた。

「オイ、何があった」
「ダ、ダイナマイト！？さ、酒に酔った客が暴れ出して、個性で店を……」

出てきた客に事情を聞けば、怪力系の客が暴れているらしい。
顔を真っ赤にして、店の壁をぶち抜いて外に出てきた。

「うお、爆豪っ」
「あ、爆豪君だ」

それを追いかけて上鳴と芦戸が出てくる。
非番でもちゃんとヒーローとして公務をこなしていた。

「オイ、アホ面！！ Aは！？」
「え？ Aちゃんいない？もしかしてまだ店の中！？」

酸を放出して足場を崩しながら芦戸が答える。
その隙をついて上鳴が暴れている男に電流を流し込んだ。

随分と派手に暴れたらしく、店は倒壊しかけている。
Aがまだ中にいる可能性があると聞いて、爆豪は慌てて中に入った。

「オイ！どこにいる！？」
「あれ？勝己君？」

ぐちゃぐちゃの店内──その奥から自分の名を呼ぶのん気な声が聞こえた。
瓦礫に気をつけながら奥に向かう。

Aは壁にもたれかかりながら、不自然な歩き方で出口を目指していた。

「おま……っ、何してんだっ」
「びっくりして転んじゃって……足くじいちゃった」

他の客はパニックでAの存在に気づいていなかったようだ。
へへ、と笑うが額には汗が浮かんでいた。

「わ……ちょ、」
「いいから大人しく掴まっとけ」

爆豪はAを俵のように左肩に担いで、右手の爆破を利用して超スピードで店を出た。
脱出した直後、店はバランスを崩したように倒壊した。

「もしかして、私……危なかった……？」
「見りゃ分かるだろボケ」

危うく店と運命を共にするところだったAは、青い顔でその光景を眺めていた。

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