# ページ42
◎むらかみさん
2011年9月。
「なんや、これ?」
ある日、マンションのポストを見ると一通の手紙が入っていた。差出人の名前はなく、宛名は不安定な字で書かれている。
一瞬誰かのイタズラやろうと思って捨てようとしたが、俺はこの前ヤスが言ってたことを思い出した。
“晴人な、たまにお手紙送ってくれるんよ。元気でねって書いてる手紙。”
____日記を書くなどの方法で自分の内面を文字に起こすことで、不安定な自分の状態や気持ちを整理でき、治療の手がかりにもなる。
つい最近見た、インターネット記事の情報が思い出される。
そういえば、大倉もよく晴人と手紙のやり取りをしてるって言ってたっけ。
「まあ、見てみよか。」
リビングのソファーに腰掛けた俺は、一度深呼吸をしてゆっくりとその封筒を開けた。
−−−−−−−−−−−−−−−−
信ちゃん。とつぜんのおてがみごめんなさい。
きのう、たちょからでん話がきて信ちゃんがオレに合いたがっているとききました。
ほんとうですか?
ほんとうなら、すごくうれしいです。
信ちゃんはさいきんおひるの新しい番ぐみが初まっていそがしいときいてます。
むりはしないでね。
オレはいま、東京のいなかのほうにアパートをかりてゆっくりとすごしています。
セキュリテイがどうとかって言って、信ちゃんはおこっちゃうかな。でも、いいとこだよ。
むかいに住んでいるおばちゃんがよく野サイをくれます。びょう院にいくときはバスに1じかんくらいのって生きます。
さいきんはげんきだよ。信ちゃんもげんきでね。
−−−−−−−−−−−−−−−−
一番最後に律儀に“元気でね”と書いているのを見て、思わず笑ってしまう。
漢字とひらがな混じりで誤字も目立つ、決して綺麗とはいえない文字たち。
きっとそれが今の晴人の精神状態をあらわしてるのだろう。
だけど、俺のために一生懸命書いてくれたことがひしひしと伝わった。
今はめっきり芸能界から遠ざかった場所で暮らしていると聞いていたが、ヒルナンデスが始まったことは知っているらしい。
こうやって俺らの状況をちゃんと知ってくれていることに、嬉しさを感じた。
手紙の一番下には、小さく電話番号が書かれていた。
そういえばこいつ、携帯変えたんやったっけ。
「電話…してみるか。」
俺は意を決して、
携帯電話を手に取った。
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donco(プロフ) - SEIさん» コメントありがとうございます。楽しみにしていただけて嬉しいです〜! (2021年1月30日 17時) (レス) id: 29bbb7c934 (このIDを非表示/違反報告)
SEI(プロフ) - 更新お疲れ様です!とても読み応えのあるストーリーで、お気に入り登録しました!無理のないペースで、更新楽しみにしていますね! (2021年1月26日 15時) (レス) id: fb017ffbce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さざ波 | 作成日時:2021年1月23日 1時