僕は僕の青春を取り戻す【∞】

past.5 ページ20

◎なかまさん

2011年、1月。


「黙ってて、本当にすみませんでした。」


先日、晴人の芸能活動休止が発表された。

理由は過労による体調不良。
お正月に行われたエイトさんのライブも、急遽晴人抜きの7人で行われた。



晴人が心療内科に通院していたことは、エイトさんや、マネージャーさんですら知らなかったらしい。

唯一晴人の異変について知っていた俺は自責の念に駆られ、横山くんに連絡を入れた。


「大丈夫や。お前はなんにも悪くない。」


横山くんは繰り返しそう言ってくれた。その優しい言葉を聞くたびに、俺はどうしようもない無力さと申し訳なさを感じた。


「でも、知ってたからには何か出来たかもしれへんし、相談にも乗ってあげれたかもしれません。」


何度謝っても謝り足りない。

謝るたびにあ、の日の弱々しい晴人の顔が思い出され目の奥がツンと痛くなった。




「淳太、これは俺らの問題や。俺らがあいつの異変に、気付いてやられへんかった…俺らのせいでもあるねん。」


横山くんはうつむきながらそう言った。

“守ってやれなかった”

その思いが僕らの中にうずまく。


晴人は現在関西の病院に入院しているという。
メンバーどころか、家族でさえも面会拒絶の状態だという。


いつ戻ってこられるのか。
そんなこと、誰にも分からなかった。



「お前は何も気にせんでいい。ただ…晴人からなんか連絡来たら、そのときは教えてくれへんか？」



晴人からの連絡は去年の9月ごろで止まっている。
連絡がくる確証なんて、無いに等しかった。



それでも、


「はい。わかりました。」



俺は、少しの希望だけでも持っていたかった。

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