なんか色々とすっごい探偵社の女の子（仮）が雄英高校で頑張るようです。 【文スト×ヒロアカ】

39日目 ページ40

奏多side




それから、やる競技だけやりながら全員の測定を運動場の木陰から眺める。

こりゃあなかなかに暇だ。
はぁ、と溜め息を吐き出すと、なぁ、と頭上の陰が濃くなったと同時に聞こえた声に顔を上げると、顔の左側に火傷の痕を負った、左右が紅白頭の男子が立っていた。


奏多『えーっと？』

「お前、武装探偵社の奴だって本当か？」

奏多『え？まぁ……。とりあえず、情報とか抜いてもいい？君のこと、僕は全然知らないからさ』


そう云うと、おう、と短く返事を返された為にそれを肯定と見なした上で抜き取る。

……轟焦凍、ねぇ。
個性を二つ持ってるとは珍しい。


奏多『轟、ね。あ、一応自己紹介。僕は四十万奏多、奏多って呼んで』

轟「判った」


素直に頷いた轟に僕も満足してうんうんと頷く。


奏多『で？僕に用事かな？』

轟「まあな」


そう答えて、じっと僕の目を見つめる轟。
何かあるか？と思い首を傾げると、お前、女なんだよな？と真面目な顔で訊かれた。


奏多『制服から見てくれたら有り難い』

轟「女なんだな」

奏多『うん。つか、これってそんなに間を置いて聞くことかぁ？』


もっとフラットに聞いてよ〜、と肩を叩くと、悪ぃ？と首を傾げた。

ふはっ、とそれに息を吐き出して笑うとまたもや首を傾げる。
というか、やっぱりこの云われ方は傷付くよぉ〜…。


轟「何でお前は探偵社に居るんだ？親御さんたちが心配するだろ」

奏多『あー……。僕、元々は捨て子でさぁ、親とか居ないんだよね。親の代わりって感じの人はいるけど』


さっきの黒髪の人とか、と云えば、蓬髪のか？と訊いてくる。


奏多『うん。他にも居るんだよ？兄弟みたいな人もいるし……案外楽しいんだ』


親が僕を捨ててくれたお陰で今の僕があるから、ある意味では感謝してる。
そう伝えると、そうか、と。


轟「……ちょっと羨ましいかもな」

奏多『何で？』

轟「……異能力者が異端だと罵られるにも関わらず、捨て子だったと云うにも関わらず、そう言えるお前が羨ましい」


要するに……自由奔放に、僕が僕の意思で生きていることが羨ましいってことか。

まぁ、こういう手の話は深入りしないことがいいんだけど、


奏多『何があったかは敢えて詮索しないけどさ。別に、轟は轟なんだからいいんじゃないの？』


何があっても、君が轟焦凍だということに変わりはないんだから。


奏多『なりたい自分を目指せばいいじゃん』


人の道は、人が決めるもんなんだから。







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