【歌lいl手】ギャップの差【クlプlラ】

第20話。 ページ21

「Aさんっ！」

はぁ、はぁと息が荒いクプラさんが駆けてきた。

「く、クプラさん…！すみません、いきなり呼んだりして……走らなくても良かったのに…」

大丈夫ですか？と言い、背中を摩る。

「はっ、はぁっ、だ、大丈夫ですっ……！あの、よ、用件、を…」

聞かせてください、と言うクプラさんが妙に真剣で、ああ覚悟して来てくれたんだなと思った。

「あの、ですね。告白のことなんですけど、私、クプラさんのこと……」

その『好き』という二文字は、なかなか声に出しづらい。

ちゃんと、言いたいのに…。

「っ、」

「大丈夫、です。ゆっくりでいいですよ。Aさん。僕ちゃんと、覚悟、してきましたから」

ぎゅ、と手を握ってくれるクプラさんの手があったかくて、安心する。

思わず、ポロリと涙が出てしまった。

「！！わ、だ、大丈夫ですか！？僕余計なこと……ご、ごめんなさ」

「ちが、違うんですっ……、」

「へ……？」

「クプラさんの優しさにちょっと涙ぐんちゃって…、私、ちゃんと言います」

涙を拭いて、私が彼の名前を呼ぶと真っ直ぐ見つめてくれるクプラさん。

「好きです…」

一瞬驚いたような顔をしたけれど、ふっと笑って、

「……僕も、好きですっ…」

と私に抱きついた。

「く、クプラさん！？」

「わっ、わわ、ごめんなさいっ！」

「大丈夫です、少し驚いただけですから」

ふふ、と笑う私に顔を真っ赤にするクプラさん。

そう言えば、また敬語に戻ってるなぁと思って言ってみた。

「思いましたけど、また敬語ですね」

「あ、本当だ……」

クプラさんは気づいてなかったようだ。

「クプラさん…」

「はい？」

「彼氏として、よろしくお願いします」

「え、あっ、僕も、よろしくお願いしますっ！」

私の彼氏は背の高さや動画の性格とは真反対で、可愛くて、少し健気で、優しくて。

ギャップの差がはげしいです。


＿＿＿fin.

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