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随分長い間スーパーに長居した気がしたが、迎えに行った時間が早かったおかげか、家に着いた時に見えた時計はまだ6時前を指していた。
僕も自炊は出来るけど何せ彼女の手料理が食べたい。
Aを好きだった男どもに声を上げて自慢したい。僕は2週間、彼女と一緒にご飯が食べられるのだと。
「私お米そんなに食べないけど、五条くん、いる?」
「うん。でも僕もそんなに食べないかな」
「じゃあ2合でいいか」
「手伝わなくていい?」
「今日買ったもの冷蔵庫に閉まってくれると嬉しい」
彼女の言葉遣いは柔和で、優し気がある。
それに、昨日も言ったが、彼女の言葉には半分人を動かす力がある。
__まぁ、文字通り高専に在学していたAは、随一の呪言使いだったんだけど。
呪言ってのは厄介なもので、大したことない言葉でも若干呪いが効力を持つ。
だから彼女は別に僕を呪い扱いしてる訳じゃないし、呪言を使ってるわけでもないけど、やはり言霊は強い。
「ご飯炊けるより先に準備できちゃった」
「流石じゃん。手際いいねー!」
「へへ。後15分待ってもらえる?」
「オッケー」
Aはダイニングに、僕はソファに。
これじゃどっちが家主かわからない位置付けだ。
放送されている漫才に笑うAが楽しそうでこっちも顔が緩む。
何か高専時代からずっと彼女に惚れてたって、僕超がつくほどベストオブ一途じゃない?
「_ごちそー様! 僕片付けするよ」
「ありがと〜! 先にお風呂入って来るね」
「行ってらー」
僕が洗い物をし終えてまた定位置でテレビを楽しんでいた頃合いに彼女は風呂から上がってきた。
昨日も同じシャンプーを使ったのにまるで僕とは違う良い匂いがする。
「五条くん、今日はベッドで一緒に寝よ」
「…は?」
「ソファ窮屈そうだったから申し訳なくて」
「いやいやいや」
_僕の風呂上がり、彼女はそう言った。
いくらなんでもベッドに二人で寝るのはちょっとさ。
いや、ダブルだからシャ乱Qにはならないか?
待て待て駄目だろ流石に。君、僕の好きな人だよ?
考えて考えて脳は思考を諦めた。
無心になって僕が寿限無の名を呼んでいる内に寝付きの良いAはさっさと隣で寝息を立てる。
「……襲っちゃおうかなー五条くん」
さらりと髪を撫で、深いため息をついてから背中を向けた。
無理矢理襲ったって、僕は何にも幸せじゃないし。
……あーー生殺し!!!
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04-こんなに必死になって→←03-そうは言っても、触れたいんだけど
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花帆 - 両者の視点で本心が読めるのも面白いです♪続き楽しみにしています! (2022年9月28日 2時) (レス) @page28 id: 8832d32b96 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - yukinoさん» yukino様、作者の様々な作品に目を通して頂き大変うれしい限りです。yukino様から頂いたコメント、全て拝見しております。いつも励みになるコメント、ありがとうございます! これからもどうぞご支援頂けると幸いです。 (2022年1月20日 5時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - 私呪術廻戦では五条悟が一番好きなんですよ!(知るか) 読んでて,とても面白いです!!!続き気になります!頑張って下さい!! (2022年1月17日 20時) (レス) @page18 id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 董香さん» 董香様、コメントありがとうございます!嬉しいお言葉、励みになります!(^^)これからも頑張れます! (2021年5月31日 16時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
董香(プロフ) - はじめまして!こんにちは! 読んでてすごくおもしろいです!!!これからも楽しみにしてます (^^) (2021年5月30日 13時) (レス) id: cdc6ebec75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2021年5月29日 15時