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五条くんは手すりに凭れ掛かって手のひらを向けていた。
他の看護師があまりの美形に固まっている。そうでしょ？ 五条くん、私の唯一。
思わず緩む口元を隠さずに私は五条くんに近づいた。
「迎えに来てくれたんだ。着替えてくるから待ってて」
「おっけー」
スリッパを軽やかに鳴らしながら、患者さんに挨拶をして更衣室へと向かう。
私が足早に着替えていると、更衣室に入ってきた先輩看護師が興奮気味に鼻を鳴らした。
「Aちゃん、お迎えの人、彼氏？ あんな格好いい人見た事無いんだけど……！」
「あはは、そうでしょ。……ほんっとに、誰よりも素敵な人なんです」
「きゃー！」
優越感。別に優越感が欲しくて五条くんが好きなわけではないけど、彼の隣に立てるという事は人類の女性の一番の名誉だと、少なくとも私はそう思っている。
「お疲れ様です」と廊下を早足で進みながらすれ違う人に声をかける。
私に好奇の目を向けていた受付前の数人の患者さんの目が痛かったので、「あんまり冷やかさないで下さい」と声をかけて彼の元へ向かう。
その言葉が聞こえたのか否か、ニコニコしている彼は何となく不機嫌そうだった。
「わざわざ来てくれてありがとね」
「いーよ。これからも迎え来てあげる」
「いいの？ ありがとうー！」
エレベーターの閉まるボタンを押して携帯を開く。
何件か来ていた友達からのメッセージに返信したと同時にエレベーターは１階を告げた。
開ボタンを押して数秒、何故か降りない五条くんが不思議で、振り返るとサングラスをかけて私を見つめていた。
「五条くん、降りないの？」
「…あーごめんごめん。ぼーっとしてた」
五条くんが？ 珍しいこともあるなぁ。
飄々とした様子でエレベーターを先に降りた五条くんは、何だか難しい顔して明後日の方向を見ていた。
「＿＿そーいや、看護師なったんだねぇ。凄いじゃん」
「ありがと！ 五条くんはそういや今何してるの？」
「ん−。高校教師」
「ええ？ あの五条くんが教師？」
「何〜酷いなぁ。似合ってないって言いたいの？」
五条くんは困ったように肩をすくめて笑った。
生徒にもこんな顔見せてるんだろうか。やだなあ。
女子生徒なんて、年上に憧れ抱くんだから。きっとモテてるんだろうなぁ。
私が生徒なら、絶対に……、
なんてくだらない考えをかき消すように、騒がしい駅の改札を抜けて階段を上った。
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花帆 - 両者の視点で本心が読めるのも面白いです♪続き楽しみにしています! (2022年9月28日 2時) (
レス) @page28 id: 8832d32b96 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - yukinoさん» yukino様、作者の様々な作品に目を通して頂き大変うれしい限りです。yukino様から頂いたコメント、全て拝見しております。いつも励みになるコメント、ありがとうございます！ これからもどうぞご支援頂けると幸いです。 (2022年1月20日 5時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - 私呪術廻戦では五条悟が一番好きなんですよ！（知るか） 読んでて，とても面白いです！！！続き気になります！頑張って下さい！！ (2022年1月17日 20時) (レス) @page18 id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 董香さん» 董香様、コメントありがとうございます！嬉しいお言葉、励みになります!(^^)これからも頑張れます！ (2021年5月31日 16時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
董香(プロフ) - はじめまして！こんにちは！ 読んでてすごくおもしろいです！！！これからも楽しみにしてます (^^) (2021年5月30日 13時) (レス) id: cdc6ebec75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おそらまめ
| 作成日時：2021年5月29日 15時
