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青暗い薄明かりがカーテンの隙間から枕元に白々と流れ込んで、サイドテーブルの蝋燭を青く透き通らせる時間と共に、その音は鳴った。
彼女が帰ってきた。
僕は仰向けになって右腕で両の目を押さえたまま、やっと呼吸ができたように深く息をついた。
携帯で時刻を確認して、僕はまたもう一度ため息をついた。
１時になるまでダイニングでずっとアイツの帰りを待ち続け、結局その１時間後冷たいベッドに入っても寝付ける訳がなかった。
のっそりと起き上がって重い体を揺らしながら寝室を出る。
電気もつけず静かに身支度を整えていた彼女は、フローリングの軋む音でやっと僕を振り返った。
「…………おかえり」
「ただいま。起こしちゃったね、ごめん」
「…………今まで、」
何してたの。僕がどれだけ悩まされたか。ずっと男と一緒だったの。
言いたいことが口蓋まで来て一気に詰まる。
んぐっと飲み込んだ言葉は、睡眠の足りていない頭ではどう処理することも出来なかったようだ。
「……遅くなっちゃった、ごめんね」
「………もう、朝だよ」
「今日早出だから、もう準備しなきゃ」
それでうまくかわしたつもりかよ。
逃すかよ。待てって。
頭の中では何層にもなって彼女を責める言葉が紡がれるのに、実際どうだ。するりと僕の脇を通り過ぎる彼女を追いかける事すらできない。
どこかで僕は、彼女に嫌われる事を怖がっていた。
本物の恋人でもないくせに、彼氏面して、僕は。何がしたいんだよ。
Aが、僕以外の男の元で一晩過ごした。
その目の前の情報を処理できない。それを理解すれば、僕はきっと。
「じゃあ、先行くね。悟も仕事がんばってね」
「……ああ」
もう、どうともいえなかった。
扉が閉まるのをぼうっと眺めて、それから酷く重い圧に負けるみたいにふらっと壁にもたれかかった。
約束の期間は明日。
僕はそれまでにこの不毛な関係にケジメをつける事が出来るんだろうか。
どちらにせよ、明日が最後。
それまでに自分の考えを伝えなければいけない。
今日のような関係で終わらせる事なんて絶対に嫌だしありえない。
——…それなら僕は、
ピピピッ
……寝室で僕の携帯のアラームが鳴った。
のっそりと起き上がって寝室に足を入れればさっきまで青黒かった光は熟れた果実のような赤に変わっている。
アラームを停止した、午前８時。
「……あ、遅刻」
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花帆 - 両者の視点で本心が読めるのも面白いです♪続き楽しみにしています! (2022年9月28日 2時) (
レス) @page28 id: 8832d32b96 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - yukinoさん» yukino様、作者の様々な作品に目を通して頂き大変うれしい限りです。yukino様から頂いたコメント、全て拝見しております。いつも励みになるコメント、ありがとうございます！ これからもどうぞご支援頂けると幸いです。 (2022年1月20日 5時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - 私呪術廻戦では五条悟が一番好きなんですよ！（知るか） 読んでて，とても面白いです！！！続き気になります！頑張って下さい！！ (2022年1月17日 20時) (レス) @page18 id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 董香さん» 董香様、コメントありがとうございます！嬉しいお言葉、励みになります!(^^)これからも頑張れます！ (2021年5月31日 16時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
董香(プロフ) - はじめまして！こんにちは！ 読んでてすごくおもしろいです！！！これからも楽しみにしてます (^^) (2021年5月30日 13時) (レス) id: cdc6ebec75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おそらまめ
| 作成日時：2021年5月29日 15時
