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「……それで? 具体的に僕は何をすればいいわけ?」
「何もしなくていいの。私と一緒にいてくれれば」
特段気にする様子もなく「ふーん」と返したが、今も惚れている彼女からこんな事言われて、口から「可愛い」がまろび出そうなのを必死に押さえつける。
手元のアイスコーヒーはとっくに氷が溶けて薄くなった砂糖水みたいでまずかった。
「明日から、私と2週間一緒に過ごしてほしくて……
浮気の証拠を押さえるまで別れない、なんていうから」
「そりゃ厄介な恋人だねー」
「あはは」
彼女は意味深に笑った。
美人だから、笑う姿さえ意味深に見えるのか?
とにかく、この話はこれで終わりだ。
彼女も最後の一口を飲み終えて、「それじゃ」と席を立つ。
「今日はどうもありがとう。これから2週間よろしくね」
「ん−。それで、僕は明日どうすればいい?」
「また連絡入れるね。今日はこの後予定があるから」
「ありがと」財布から颯爽と札を1枚抜き取って机に置いたA。
僕は、良いって、と彼女を諫めようとしたのだが、置かれた1000円札を取るのが先か、彼女を見送るのが先か、一瞬迷って、立ち止まってしまう。
結局紙幣をそのままになんてしておくことも出来ず、今日のカフェ代には十分すぎる代金を拾い上げた時には、彼女は僕の横を通り過ぎていて。
「それじゃ、また明日。ばいばい、五条くん」
「……はいはーい」
少しでも余裕を見せたくて、ひらひらと手を振って何とか見送った。
そのままその席に座り込む僕に他の女性から熱い視線が送られる。
……普通、"そう"だよな? 僕ってイケメンだよね。
僕になびかない、彼女がおかしいんだ。
足を組めば感嘆の息を漏らし、僕が悩まし気に頬杖を吐けば歓声が上がる。
彼女の隣にいると、彼女に負け続きで僕がまるで最強じゃないかのような錯覚を起こしてしまう。
そうだ、やっぱり僕、最強だ。
「五条せんせ、なーんかソワソワしてね?」
「こらっ携帯を覗き見るんじゃありません!」
「ダレダレ、カノジョ?」
「悠仁〜いいとこつくねぇ」
「この人に彼女なんて必要ないだろ」
「恵ヒドッ」
翌日のホームルームになってもAから連絡は来ない。
もしかして、昨日の話って嘘だった?
なんて思っている内に通知を知らせる携帯。
「わ、びっくりした! 急に俊敏!」
「…もしかして、本当に彼女なのか?」
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花帆 - 両者の視点で本心が読めるのも面白いです♪続き楽しみにしています! (2022年9月28日 2時) (レス) @page28 id: 8832d32b96 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - yukinoさん» yukino様、作者の様々な作品に目を通して頂き大変うれしい限りです。yukino様から頂いたコメント、全て拝見しております。いつも励みになるコメント、ありがとうございます! これからもどうぞご支援頂けると幸いです。 (2022年1月20日 5時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - 私呪術廻戦では五条悟が一番好きなんですよ!(知るか) 読んでて,とても面白いです!!!続き気になります!頑張って下さい!! (2022年1月17日 20時) (レス) @page18 id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 董香さん» 董香様、コメントありがとうございます!嬉しいお言葉、励みになります!(^^)これからも頑張れます! (2021年5月31日 16時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
董香(プロフ) - はじめまして!こんにちは! 読んでてすごくおもしろいです!!!これからも楽しみにしてます (^^) (2021年5月30日 13時) (レス) id: cdc6ebec75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2021年5月29日 15時