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こんなに彼女が僕に対して素直になったのは出会って初めてだ。
今まで触れる事すらほとんど許されていないようなものだったし、何より彼女は男が途絶えたことが無かったから。
でも、紛れもなく彼女は言った。抱きしめて、と。
「悟、」
「…、どした？」
「悟の前で、泣きたく、なかったんだけど、な」
「僕は何にも見てないから大丈夫だよ」
完璧な高嶺の花が、初めて見せた弱音。
誰にも弱い所を見せない彼女に惚れた筈の僕は、僕の腕の中でこんなに泣いている彼女がますます愛おしくて仕方がなかった。
僕を呼び捨てにして、取り乱させる。
でもその気まぐれなAが、僕は好きで溜まらない。
「……悟、ありがと」
「ん。もー平気？」
「うん。落ち着いた」
「何がAを悲しませたか、教えてくれない？」
＿＿仕事の小さなミスが立て続けに起きて、上司からちくちくと釘を刺されたようだ。
さらに今日の飲み会で、酔った上司にパワハラ発言やセクハラを受け、女性の先輩には見て見ぬふりされたらしい。
今すぐそのクソ上司をぶっ飛ばしてやりたい。
平静をなんとか取り戻して、僕はもう一度強くAを抱きしめた。
今度は、Aも黙って僕の背中に手を回して。
肩口がしっかりと濡れている。
今だったら、どさくさに紛れて彼女とキスでも出来るんじゃないか。
そう思ったが、腕の中で小さく震えるAがあまりにも切なくてやめた。
「…あー、喋ったらすっかり酔い覚めちゃった！」
「本当？ 平気なの？」
「うん。ちょっとやけ食いしちゃおうかな」
「３つとも食べちゃえー！」
「それじゃ、お言葉に甘えて！」と、語尾に音符かハートでもつきそうな程嬉しげな声色で、Aは少し霜のついたラッピングを剥いてチョコの方を見つめた。
言葉にならない感嘆の声をあげて頬を片手で支えるAが可愛くて仕方がない。
頬杖をついて見つめる僕と目がばっちり合うと、すぐに目を逸らしてケーキを頬張った彼女。
「優しくしたってダメだよ。ケーキはあたしのだから」
「……っふ、ケーキは狙ってないよ」
あー、可愛いな。
早く僕のものになればいいのに。
なんて思ってると、目が合った今度はじっと見つめられる。
1,2,3……。
「…7秒見つめ合うと、好きになっちゃうんだって」
「……ざーんねん。僕には効かないよ」
「えーっ」
とっくに君が好きなんだから。
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花帆 - 両者の視点で本心が読めるのも面白いです♪続き楽しみにしています! (2022年9月28日 2時) (
レス) @page28 id: 8832d32b96 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - yukinoさん» yukino様、作者の様々な作品に目を通して頂き大変うれしい限りです。yukino様から頂いたコメント、全て拝見しております。いつも励みになるコメント、ありがとうございます！ これからもどうぞご支援頂けると幸いです。 (2022年1月20日 5時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - 私呪術廻戦では五条悟が一番好きなんですよ！（知るか） 読んでて，とても面白いです！！！続き気になります！頑張って下さい！！ (2022年1月17日 20時) (レス) @page18 id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 董香さん» 董香様、コメントありがとうございます！嬉しいお言葉、励みになります!(^^)これからも頑張れます！ (2021年5月31日 16時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
董香(プロフ) - はじめまして！こんにちは！ 読んでてすごくおもしろいです！！！これからも楽しみにしてます (^^) (2021年5月30日 13時) (レス) id: cdc6ebec75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おそらまめ
| 作成日時：2021年5月29日 15時
