32話「護衛」 ページ32
季節はめぐり、春が来た。
次の司令は今までと少し様子が違っていた。鬼を討伐する訳でもなく、パトロールでもない。なんと、護衛らしい。しかもその対象が………
「よろしくお願いいたします」
「こ、こちらこそです…!全力でお守りします!」
お館様のお内儀、あまね様。お美しい。
いや最初鎹烏から聞いた時は長距離飛びすぎてついに頭おかしくなっちゃったのかと思ったわ。いやだって、あまね様よ…?あのお館様の奥さんよ?その護衛を??私が?柱でもないただの隊員の私が??
プレッシャーが凄い。昼間だから恐らく、護衛というのは鬼からではなく、あまね様の美貌や格好に寄ってくる輩の排除、ということだろう。
何故に私なんだろうか。この一言に尽きる。いや柱の方々が忙しいのはわかるけれど、本当に私でいいのか…?しかもお館様から直々の命令……果たして喜んでいいものか。
多分、だけど私のこの力のことは少なからずお館様の耳に入っているはず。それでいて何も言ってこないのは容認してれている…ということなのだろうとあまり深く考えずにいたけれど、そうも言っていられないか。
御屋敷の近くまで向かうと既に待ってくれていたあまね様と共に、目的地までご一緒する。正直心臓バクバクだ。ただでさえこんな美しい人と歩いている事実に加え、何かあればすぐにでも私の首は飛ぶだろう。どうか何事も起こらんでくれよ!!
「怖い顔…していますね」
「ヒェ、!!!すみません!こんな顔面お見せしてしまって今隠しますね!手ぬぐいとか、アッタカナ」
急に話しかけられたもんだからおもわず片言になってしまう。しかも怖い顔って言われた!!!!悪人面って言われた!!!!(言われてない)
「あっ、いえ、そうではなく……緊張、されているのかなと」
「当然ですよこんなお美しい方と並んで歩いてるんですよ1生に1度あるかないかの経験です!!安心してください!そんなあまね様の視界に入らない様気をつけるので!!」
「………ふふ、」
あ、笑った。うわ笑ったお顔ましましで美人さん。うわ〜〜〜〜〜お人形さんみたい。
そこから少しずつ会話が続いた。最初は気を使って話しかけてくれているのかなと思っていたが、私の言動ひとつひとつがどうやらあまね様のツボに刺さったらしく、ずっと楽しそうに笑っていた。
原作であまり表立って登場することはなかったし、正直あまり笑わない怖い人かな…なんて思っていたけれどそうでもなさそう。優しい人だ。
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鎖夏(プロフ) - 楽しく拝見させて頂いてます。私、錆兎が大大大好きなので、この作品まじ最高すぎます!!夢主ちゃんの性格もよき笑応援してます!! (2020年6月22日 18時) (レス) id: a8669a7d2d (このIDを非表示/違反報告)
花札 - そういえば、ひなたさんの推しは誰ですか?それと、有一朗君が死んでしまった所とっても泣きました。カナエさんはどうなるんでしょうかね。頑張ってください!! (2020年6月5日 15時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
いくら - ひなたさん» いえいえ!!こんな素敵な小説なら、いつまでも待てますよ!! (2020年5月19日 12時) (レス) id: 16c4d9d785 (このIDを非表示/違反報告)
花札 - こんにちは、とても面白かったです。(はやく続き読みたい・・・。)更新、頑張ってください!応援してます!! (2020年5月9日 21時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - いくらさん» くそみたいに更新遅くて申し訳ないです…!頑張りますね!!!! (2020年5月9日 11時) (レス) id: 138242db57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひなた | 作成日時:2020年3月17日 12時