11話「えぐいてぇ!!」 ページ11
「皆様、今宵は最終選別にお集まりくださってありがとうございます」
声が響き、そちらを見るといつの間に現れたのかおかっぱ頭の2人が立っていた。それぞれ黒髪と白髪で藤の花をつけた子。2人ともお館様の子供で、確かこっちの黒髪の子が男の子だった気が。名前までは覚えてないや。それにしても綺麗な顔してらっしゃるわ。
いきなりの2人の登場に驚きつつも、静かに説明に耳を傾ける皆さん。その表情は固い。
選別の合格条件は単純。7日間生き残ること。日が落ちれば、どこから出てくるか分からない鬼たちを倒しながら、昼間は休まなければならない。その寝床や食べ物の確保も自分たちで行う。極度の緊張と休息。それを7回繰り返す。単純に見えて、結構えぐい。
「では、行ってらっしゃいませ」
その言葉を合図に続々と奥へと進んでいく皆。すぅ、と深く一呼吸。
やまとちゃんと顔を見合せ、みんなの後に続く。
少し歩くと、あんなに咲いていた藤の花は無くなり空気が重くなる。この独特の嫌な感じ。鬼を見るのも戦うのも初めてだけどわかる。近くに、いる。
「ッ、!」
何がとは上手く言えない。鼻がいいわけでも耳がいい訳でもない。けれど、感じどったその何かに反応して、私の体は素早く反応した。やまとちゃんを抱え、反射的にその場から飛び退く。
その直後、木の影から飛び出してきた2つの影。
「若い女だ…久しぶりのご馳走だァ」
「キヒヒ、美味そうな匂い…」
鬼だ。本物の鬼。一気にその場に緊張が走る。鬼は群れないらしいが、姿が似ているなこの鬼たち。人間の時は兄弟だったのかもしれない。
「やまとちゃん、いける?」
「も、もちろん」
「じゃあ私は右の鬼、やまとちゃんは左」
「わかった…!」
コソッと耳打ちして、抱えていたやまとちゃんを降ろす。一応指示はしたけど、やばい様なら間髪入れずヘルプに入る。集中しろ、思い出せ、いつものように。
がむしゃらに向かってくる鬼を切りつけながら、隣を見ると、上手く教えを活かして戦うやまとちゃん。要らぬ心配だったみたい。おばあちゃんにしごかれただけはある。
負けてられない、と間合いに入ったところで呼吸法を使って首を斬る。スパン!と切れた首は遠くへ飛んでいき、鬼は消えた。
よかった、斬れた。戦える。私もちゃんと戦える。ギュッと刀を握りしめる。とその瞬間、再び鬼が来るあの感じ。どうやら休む暇はないみたい。
「やまとちゃん、来るよ!」
「任せて!!」
12話「サバイバルの本読んでて良かった」→←10話「いざ推しを目の前にすると叫んでしまう派のオタク」
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鎖夏(プロフ) - 楽しく拝見させて頂いてます。私、錆兎が大大大好きなので、この作品まじ最高すぎます!!夢主ちゃんの性格もよき笑応援してます!! (2020年6月22日 18時) (レス) id: a8669a7d2d (このIDを非表示/違反報告)
花札 - そういえば、ひなたさんの推しは誰ですか?それと、有一朗君が死んでしまった所とっても泣きました。カナエさんはどうなるんでしょうかね。頑張ってください!! (2020年6月5日 15時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
いくら - ひなたさん» いえいえ!!こんな素敵な小説なら、いつまでも待てますよ!! (2020年5月19日 12時) (レス) id: 16c4d9d785 (このIDを非表示/違反報告)
花札 - こんにちは、とても面白かったです。(はやく続き読みたい・・・。)更新、頑張ってください!応援してます!! (2020年5月9日 21時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - いくらさん» くそみたいに更新遅くて申し訳ないです…!頑張りますね!!!! (2020年5月9日 11時) (レス) id: 138242db57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひなた | 作成日時:2020年3月17日 12時