春紫苑 (ページ21)

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そのあと、正門先輩が一人暮らししている家に向かった

インターフォンを鳴らすと

『福本Aです。』

｢ Aちゃん｣

そこにいたのは、いつもみたいに大人っぽい正門先輩ではなく

顔を真っ赤にして、おでこに冷えピタを貼った正門先輩だった

『正門先輩、大丈夫ですか？薬は飲みましたか？熱は測りましたか？』

｢薬、買いに行こって思って、準備してた。熱測ったら、もっと体調悪くなってまう気がして｣

『そんなフラフラな状態で行くのはあぶないですから、大人しく寝ててください』

｢でも、Aちゃん来てくれたんやし、お茶くらい出さな申し訳ないわ｣

『様子見に来ただけですから、大吾先輩心配してましたよ。』

｢そうやった、連絡するの忘れてたわ｣

『来てよかった、薬買いに行ってる途中に倒れられたら大変ですからね、熱測りますね。』

｢もしそうなってたら、Aちゃんは命の恩人やね｣

『もう、笑い事じゃいですから。38.7度。高いですね。私、薬買ってきますね』

｢待って｣

正門先輩に腕を引っ張られ、唇と唇が重なった。

『えっと…あの…いってきます。』

｢行ってらっしゃい｣

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