【刀剣乱舞】本丸の付喪神【勘違い】

42、夢 ページ44

.




(...ん...。)



目を開けると、知らない場所にいた。



目の前には男の人がいる。



男｢...よし、A。今日も頼むぞ｣



そう言い、男は持っている刀を優しく撫でる。



(この人が、私の主さん...？)



そう考えている間にも主さんは前に進み始める。



私は慌てて主さんの後をついて行く。



後から見ていて分かったことは、主さんが街の人から愛されているということ。



すれ違う人達と挨拶を交わし、団子屋で無料で団子を持っていたりした。



(この人、顔が広いんだなぁ...。...ん？)



ふと橋の傍から泣いている声が聞こえた。



誰かいるのかな、と思いながら橋を見ていると主さんも気づいたようで、橋に近づいて行った。



私も主さんの後を追うように歩くと橋のしたの土手に子供がいた。



主｢坊や、どうしたんだ？｣



主さんが声をかけると男の子が顔を上げた。



子｢ぅ...っ...実はね、川の中に...っ、お母さんの写真が、落ちちゃって...！｣



詳しく話を聞くと、亡くなったお母さんの写真を川に落としてしまったらしい。



それは災難だったな...と思いながら男の子を見ていると主さんがいきなり声を上げた。



主｢...よし！分かった！探してくるな！｣



主さんが刀(私)を男の子に託し、腕を捲り川に入る準備をしていると男の子が｢でも...！｣と声を上げた。



主さんは男の子の方を見て、微笑んだ。



主｢大丈夫だ。心配するな｣



絶対見つけてやるからな！と言い、男の子の頭を撫でて川に入っていった。



...男の子が言いたかったのはこの事じゃないんだ。




“見つかっても、ふやけちゃって見えないよ”




こう、言いたかったんだと思う。



でも、あの人は言わせなかった。



それに、あの人はその言葉を見透かしたように励ましの言葉を放った。




...すごいなぁ。流石だよ。主さん。




私も、この人のように...




＿＿そう考えていると私の意識は




ゆっくりと、闇の中へと消えていった___

43、睡眠不足→←41、姫のような君

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す