元彼×今彼＝方程式の答え【凪 誠士郎】

俺だけが知らなかった ページ32

「…なんで、お前が出んだよ。凪」




AのLINEから電話をかけたのに、Aの代わりに凪が出た。




「ちょ、凪くん！」



携帯からAの声が聞こえる。
凪とA、一緒にいるのか…？






「おい凪、変われ。そこにAいんだろ？」


「いる」






「なんでお前が出んだよ。」





Aに限ってそんなことは無い。
分かっているが俺の頭の中では「最悪」しか思い浮かばない。

正直、電話をかけなきゃ良かったとすら思っている。



俺をフッた事と凪は無関係だ。そのはずだ。
たまたま凪が近くにいて、電話に出ただけだ。






「も、いいから。早く変われって凪」






「玲王」





「中学の時、俺とA、付き合ってた」















「ちょ、凪くん…！？」






携帯越しにAの声が聞こえる。










「Aは俺も玲王も好きなんだって。だから玲王と別れたんだって。両方を好きなまま付き合えないからって」













空いた口が塞がらない。
思考が、体が、追いつかない。





この話は本当なのか。
Aと凪が付き合ってた？凪はAの元彼？





ーこいつが凪 誠士郎。俺の宝物だー



ー……よろしくー





凪をAに紹介したあの日からずっと
俺だけが何も知らなかったのか？
俺をフッた理由がいえなかったのはそういう事なのか…？




凪の言葉じゃダメだ。本人の。Aの言葉で聞かなきゃ信じられない。







「……凪。Aと変われ。」


「……」












「…玲王」










小さく、今にも消えそうなAの声がした









「…おい。A」








喧嘩も言い合いもした事ない俺たちだった
今、付き合っていた1年間の中で1番冷たく、思いやりのない声だったと思う。


だけどそんなのどうでもいい







「凪の話。本当かよ」



「……」



「……何とか言えよ」






「付き合う前に言ってたもんな。忘れられない人がいるって。……凪の事だったんだろ」




「俺の事好きって言った時も、デートの時も、俺は凪の代わりだったのか？」







一方的に俺の気持ちを何とか抑えながら言いたいことだけを言う。Aの反応なんか気にしない。







「違う、玲王の事も本当に好きで…」


「何が違うんだよ。じゃあなんでこうなってんだよ。」







「……もう、Aの事は忘れるから。好きにしろよ」

好きな人が2人いること→←一緒にいる為に必要なのは「我慢」なのかもしれない

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す