元彼×今彼＝方程式の答え【凪 誠士郎】

時に優しさは何よりも痛くなる ページ22

｢あー、玲王。先行ってて。俺、教室に教科書忘れたから取ってくる｣


｢そう言って逃げる気か？｣


｢Aが連れ戻すよ｣






ちらっと私を見る凪くん。






｢ん、それじゃ先行ってるからな。早めに来いよー｣


｢んー｣






玲王はグラウンドに向かって走って行ってしまった。









｢A｣


｢……｣


｢ねぇ｣


｢……｣



｢無視しないでよ。聞こえてるでしょ？｣



｢……｣







｢……彼女って話だけど、｣



｢何？私には関係ないし。凪くんに彼女がいても｣



｢……｣







凪くんに彼女がいたってどうでもいい。私は彼の元カノなんだから。凪くんが私じゃない人と恋人同士になってたって関係ない。











｢……最低。何が｢好き｣だよ。散々私にあぁいう言葉かけてきて｣


｢……｣


｢本当に体だけが目当てだったんだね｣


｢……A｣


｢私が元カノだから誘いやすかったんでしょ。もう意味わかんない。凪くんも最低。私も最低。もうやだ。｣


｢…ちょっとA｣


｢話しかけないで。｣






凪くんはそれ以上何も言ってこなかった。
話しかけないで、は言い過ぎでも何でもなかった。









私ももうなにも言わず、凪くんを1人置いてグランドへ向かう




凪くんがどんな表情をしていたかなんてもう興味もなかった






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｢……今日凪のやつやっぱ練習来なかったな｣


｢……｣





凪くんはあれから練習に顔を出さなかった。
玲王はずっと待っていたようだったが別に怒ってもいなかった。俺の宝物は自由人ですなーと笑ってる






｢…花火、楽しみだね｣


｢おう！楽しみだな。Aの浴衣姿見られる？｣


｢着ていこうかな｣


｢やった！ぜってぇ可愛い｣





玲王の笑顔を見る度に、私は玲王の顔を見れなくなってしまっている。玲王と話す度に、心が





｢Aさ、最近元気ないよね｣


｢え｣


｢俺の気のせいじゃないと思ってるんだけど｣


｢……気のせいだよ｣




今できる精一杯の笑顔を玲王に向けるが、玲王は複雑な表情をする。





｢俺を見くびるな。一年一緒にいんだぜ、分かるよ｣





｢なんかやな事あったんなら話さなくていいから、花火みて、少しでも忘れられればいいからさ｣








……あぁ







玲王は優しい。







でも、今はその優しさが私にとって





殴られるよりも痛かった

私も、凪くんと同じ身体だけ？→←私が見たものは｢なに｣？

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