36.花火と ページ37
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倫太郎に手を繋がれ、人混みから逸れていく。
神社の裏に行く。
『おぉ、ザ穴場って感じ!』
角「んね。俺もここ初めてだし
あ、さっき大丈夫だった?」
『うん!大丈夫!私、ナンパなんて初めて!』
角「いや、何回もあったら逆に怖いよ」
『確かにw』
角「あと、はい。綿飴といちご飴飴」
『おぉ!ありがとう!』
ヒューーーーーー
『あ!!』
ドォォオン
花火が始まり、一発目から大きな花火が上がる。
『綺麗…』
角「んね。俺久しぶりに花火見た。」
私と倫太郎は止まることなく上がり続ける花火に虜になっていた。
上がる間はお互いずっと無言、
でも、気まずい無言じゃなくて、心地の良い無言。
花火もラストスパートに入ってきたのかどんどん花火の上がるスピードが上がる。
角「A」
不意に名前を呼ばれて倫太郎の方を向く。
『何?』
角「俺、Aの事が
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好きだよ
.
.
」
苦しそうに言う倫太郎の顔はいかにも私がどう返事をするのか分かっているような表情だった。
それでも、倫太郎の細くて綺麗な目は私を愛おしそうに見つめる。
『え……私…倫太郎の、事』
角「言わなくて良いよ。
Aが俺の事じゃなくて侑が好きなの知ってるから。
それを言うAの方が辛いでしょ」
『うん……』
角「これからも友達としてよろしくね。
俺を振ったんだから、
ちゃんと侑と幸せになるんだよ」
『うん』
.
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私たちを照らす花火は止まる事なく上がり続ける。
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Ut(プロフ) - 面白いです!いつも見てます。オチは角名がいいです! (2020年9月27日 18時) (レス) id: b32c4e10d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちーーべすな | 作成日時:2020年4月29日 23時