お隣さん ar×ym

■： ページ31

side*大貴









また別のモヤモヤが残る中、自分のデスクに戻り、貰ったココアを置く。


パタ……とデスクに降ろした厚い書類を掴み直し、真ん中で態度でかめに座る課長に持っていった。







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大貴「はぁ……お疲れ、俺」





車から降り、駐車場の砂利を踏むと一気に疲労感が俺を襲う。


アパートから少し離れた場所にある駐車場で、自分を慰めながらここ最近の出来事を思い返した。





風邪で熱を出したらしい伊野ちゃんの持っていた仕事が、なんの冗談か大半が俺に回ってきて。



普段の仕事に加え、慣れない業務に自分の能力も悲鳴を上げた。


ミスが増え、痛い視線に合い、おまけによく分からない自分への愚痴も聞かされた。……いや、俺が勝手に聞いたのか


短時間で必死にまとめた大量の書類も、秒で宙を舞ったり、束でゴミ箱行きになったり。




同じ部署の社員や、当たり前のように課長は伊野ちゃんを持ち上げてばかりで。


確かに伊野ちゃんは仕事が出来るし、愛嬌もあるし、なんだかんだで気に入られているし。





大貴「はぁ……」





空を見上げると、月が雲の中で必死に光を映して、その辺りがぼんやりと白く濁って見えた。


……この重たい感情に、名前を付けたくない。




伊野ちゃんとのメールに『高木雄也って人がうちの部署に来たよ』と送ると、食い気味に返事が返ってきた。


何しに来たのとか、俺のことなんか言ってたかとか、そんな感じ。


知りたいなら自分で聞けばいいのにって思ったけど、そこは正直に全部伝えた。





大貴「酒飲んで忘れよ……」

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