■: ページ25
side*大貴
大貴「今日はありがとね」
慧「結構楽しかったよ」
二人とも酒を飲んでいるため、タクシーに乗る。
一日中歩き回って、ご飯を食べて、酒が入っているせいか、眠気が襲ってきた。
しばらく経って、カクンと首が折れそうになった時、
隣に座る伊野ちゃんがもぞもぞと動き出したかと思えば、はいこれ。と差し出された札。
大貴「いーよこれくらい。俺が誘ったんだし」
慧「そう?じゃあ誘ってくれてありがとう代」
そう言って半分に折られたそれを押し付けるように握らされ、
にこにこ笑う伊野ちゃんを見て、思わず目を逸らす。
大貴「……ねぇ、伊野ちゃん」
慧「あ〜、楽しかったぁ」
両腕を伸ばして伸びをすると、わざとらしく俺の言葉を遮った伊野ちゃんは、何事もなかったかのように
「また誘ってね」とはにかんだ。
大貴「……おう」
慧「やったぁ」
そう返事をしてやると、満足そうに外を眺める。
……車窓に映る伊野ちゃんを見て、胸騒ぎがした……気がする。
伊野ちゃんを先に降ろし、二人分のお代をまとめて払う。
ポケットからくしゃくしゃになったお札が出てきたけど、これは彼からのありがとう代だった。
タクシーの運転手に軽く頭を下げ、アパートの階段を上り、部屋の鍵を出しながら、ふと隣のドアを見る。
……まだ帰ってきてなさそう。
大貴「……はぁ」
白い息を吐くと、アパートの灯りに混ざって見えなくなった。
予定が合わないことなんて珍しくない
きっと仕事が入ったのか、長引いたのかのなにかだろう。
大貴「……ただいまー」
ソファーの下に鞄を落とし、台所で水を出す。
シャツに水が跳ねて、そこだけ丸く色を塗った。
冷蔵庫を開け、手探りで酒を掴む。
カシュッと音を立てたプルタブは、しゅわしゅわと泡を飛ばして
……冷たい床に座り、壁に背中を付け、時計を見上げた。
今日の出来事を思い出し、酒を傾ける。
スクリーンで見た山田。
ポーカーフェイスが下手な伊野ちゃん。
ぐるぐると2人の顔が浮かんでは、泡のように消える。
大貴「……疲れた」
壁に頭をこつんと当て、片手に掴むアルコールで喉を焼いた。
730人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆりあ(プロフ) - 華さん» コメントありがとうございます(´;ω;`) 読み返していただいていたなんて恐縮です……!受験生なので更新はゆっくりペースになってしまうかと思いますが、楽しく書かせていただきます!! (2020年6月28日 19時) (レス) id: 551d67bbc3 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - コメント失礼します!今日たまたまこの作品を見返させてもらってたので、更新がとっても嬉しかったです!ついコメントしちゃいましたっ笑笑 このお話大好きです!更新楽しみにしているので、無理なさらずに頑張ってください! (2020年6月27日 21時) (レス) id: 40d9b2d054 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - JUMPLOVEさん» コメントありがとうございます(;_;)正直あまり自信が無かったのですが、にやけて頂けたみたいで良かったです……!!暫くまだまだ続きますので、これからもお隣さんライフをお楽しみください〜! (2020年4月19日 20時) (レス) id: 551d67bbc3 (このIDを非表示/違反報告)
JUMPLOVE - あ……これはニヤニヤしてしまうやつだ…と気づいたのが遅すぎました。だって気づいた時にはもうゆっるゆるだったんですもん← いつもこうなってます。ゆりあさんのお話を読むとお決まりです() お隣さんライフ最高です!!(`・ω・´)b (2020年4月19日 0時) (レス) id: e3c5443f13 (このIDを非表示/違反報告)
KannaK(プロフ) - いえいえ!全然大丈夫です! (2020年1月11日 8時) (レス) id: 677bcbe69e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆりあ | 作成日時:2019年10月14日 18時