ゾム先生のナイフ訓練 ページ48
「……で、なんで俺はナイフを持たされてるんですか？」
「『女がナイフ持って戦ってたらビビるやろ？』ってゾムさん、イタズラのためにナイフ買うたんか！？」
ゾムさんとの会話を通訳をする大先生は、煙草の代わりに棒付きキャンディをくわえている。
どうにも口淋しいみたいだ。
ゾムさんは俺の姿勢を直し、反復して教えてくれた。
どうやらナイフの扱い方を教え、戦えるようにしたいらしい。
……残念ながら、入っては少しずつ抜けていっている気がするが。
「あ、Aくん、気にせんでええで？ゾムさんも本気で戦わせようなんて……思ってへんよな…？」
大先生が訝しげに尋ねると、ゾムさんは元気よく答える。
「ーーーーーー！」
「あかん…ガチや……ふははっ…くくっ…」
「え？ガチ？え、本当に俺誰かと戦うの？え……？」
思わず姿勢を崩すと、ゾムさんは真剣な声色で言う。
「『向こうでは一瞬も気抜いたらあかん。普通に死ん──』ってあかんこの子、あーっなんで訳してもうてんっ！」
(普通に死ぬ？え、そんな危ないとこに、女装して行かされんの？……おかしくね？)
ナイフを握り直し、もう一度同じようにナイフを振るう。
頭は疑問符と煩悩しかない。
訓練が身についてるようには思えなかった。
しかし、しばらくゾムさんに操られながらナイフの訓練をしていると、二人に合格点を貰えるくらい上達していた。
「『今のめっちゃええ！やっぱロボロの言う通りセンスええなぁ。弓だけやないで！』」
「へぇ、ありがとう…ございます……」
そんな頃にはもうヘトヘトなのだが。
果たして、あの服を着ている間にナイフを振り回す時が来るのか……。
来ないで欲しいと切に願いながら、護身術だと思ってその情景をかき消す。
(流石に、これで切っても死なないよね……？)
自分の中で、死という概念が軽くなってきていることを、俺は知らなかった。
区切りのいいところで切り上げ、二人の会話を聞きながら部屋に戻る。
ポケットにしのばせた折りたたみナイフは、貰った時より軽く思えた。
＊＊＊
「ゾムさん、あの子大丈夫かなぁ」
「あー、まぁ…でも、戦われへんと心配やん。もしかしたら、どっか連れ込まれるかもしれへんし…」
「せやけど！！…もしやで？もし、ほんまに連れ込まれて、あの通りにナイフ振ったら、相手死んでまうんよ！？」
「…センスええなぁ」
「どう責任とったらええねん…！」
……ごめんなぁ、上手く守られへんで。
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Lento(プロフ) - 南無南無さん» ひぇ…！ありがとうございます……！まだまだ続きますので、お楽しみ下さい♪(カメ) (2020年3月5日 12時) (
レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
南無南無(プロフ) - めっちゃおもろいやんけぇ…！もっと早くに知っていたら…くそう！無念！！ (2020年2月25日 22時) (レス) id: e2dd911ff4 (このIDを非表示/違反報告)
Lento(プロフ) - 琴律さん» 全然大丈夫ですよw！めちゃめちゃ応援ありがとうございます！続きもよろしくお願いします♪(カメ) (2020年2月10日 19時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
琴律(プロフ) - すみません！！ほんまにすみません！！間違って低評価してしまいました！！！ほんまにすみません！！そんなこと一ミリも思っておりません！！応援してます！！もうめっちゃおu(( (2020年2月10日 18時) (レス) id: b4e402c9aa (このIDを非表示/違反報告)
Lento(プロフ) - 抹茶さん» コメント、応援ありがとうございます！続きもお楽しみください(≧∇≦)♪(カメ) (2020年2月10日 18時) (レス) id: 109e7882d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lento & こい x他1人 | 作成日時：2019年11月4日 21時
