１６９羽 ページ38
山口は飛んで、弱く、無回転に――打った。
「アウト！」
青城のリベロが叫ぶ。他の青城のメンバーもアウトであろうと思っていた。
「(いーや。そんなわけ無いね。
――入る。)」
コートについてボール。
ピッ、と笛が鳴って、審判は赤い旗を地面に向かって振りかざした。
入ったという証拠だ。
「よっっしゃあああああああ！！！」
烏野全体が歓喜に満ちた。
たった一本。たった一点。そうだ、そうかもしれない。
――ただ烏野にとって、山口にとって、もっとも重要な一本。
「(�犖記畉�性なしの精一杯の奮闘ってわけだ)」
Aもベンチから安堵の笑みを浮かべて喜ぶ選手たちを見つめた。
・
サーブ権は烏野、山口がもったままだ。
ピッ、と笛が鳴る。
その笛に怯えていた準々決勝の姿はもうどこにも無い。
落ち着いて、身長に……サーブトスを上げて、打った。
「京谷！」
レシーブの構えを取る京谷――しかし
「(とれないよ。それじゃ。)」
そのサーブは落ちかけてまたのびて、京谷に当たってからエンドラインの後ろについた。
「サービスエース二本目ぇー！！」
田中が声を上げる。
それにつづいて皆山口を褒めた。
もう一本。まだ山口にサーブ権はある。
山口が打ったボールは花巻の元へ飛んでいった。
「(ジャンフロは……オーバーでとるっ！)」
流石は青城の三年生。と言うところだろうか。
ジャンプフローターの対処法をしっかり分かっており、かつ冷静だ。
拾われた山口のサーブ。
及川があげた先は岩泉だった。
彼のスパイクが山口に飛んでくる。
それを山口は体に当ててレシーブして見せた。
「カバー！！」
控えの選手が皆で声をそろえる。
影山が飛び込んできて、それをつないだ。
「ラスト！月島！」
三枚ブロックにつかれながら、月島は冷静に開いているコースを見てクロスに打ち込んだ。
これで２３対２２。まだサーブ権は――山口。
と言うところだったが、青城のTOによりその流れはさえぎられた。
「山口くん。ナイス！」
Aが飛び切りの笑顔で言うと、山口は照れたように「ありがとう」と小さく言った。
「もう誰も、キミを弱虫だとか根性なしなんていわないよ。よく頑張ったね」
先ほどまでの眩しい笑顔とは一点。こんどはふんわりと微笑んでみせる。
山口は少し涙をこらえたような表情になって、「うん」と力強く答えた。
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もち - 初コメ失礼します。あの、セットポイントとマッチポイントの違いはご存知ですか？所々間違っています。凄腕マネという設定なら、そういうのはキチンとされた方が良いのでは…？ (2020年8月9日 13時) (
レス) id: 9c382bbadc (このIDを非表示/違反報告)
美衣(プロフ) - 135話で、角川の長身選手の身長が１ヶ所だけ間違えて書いてあります。 (2019年8月24日 11時) (レス) id: 17d30bab42 (このIDを非表示/違反報告)
魂祐 - 黄金川が正しいです (2017年6月6日 11時) (レス) id: f41f51613c (このIDを非表示/違反報告)
rina(プロフ) - 面白いです！155羽はどこに行ったんですか？ (2017年1月27日 23時) (レス) id: b2365399a8 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔 - 雪氷さん» 楽しみに……！ありがとうございます！光栄でござる(*´｀)← 好きと言ってもらえて嬉しいです！投票もコメントもありがとうございます！！ (2016年8月9日 23時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤兎リエ輔
| 作者ホームページ：http://nekomoti
作成日時：2016年8月4日 4時
